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「技術の営みの教養基礎 技術の知と倫理」 , "Living in Space" [本と映像・音楽の話]

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 2014年のblogで「1986年1月28日、技術開発プロジェクトに加わって仕事をしはじめた時、プロジェクト室のある技術研究所の食堂へ昼食のために向かったところ、食堂のテレビでSpace Shuttle Challenger の打上げ失敗の映像を目にして「夢であって欲しい・・」と強く願ったことを今も思い出します。」と書きました。「技術者倫理」をより強く意識するようになったのは、この事故が契機で37年経た現在も変わりません。しかし、工学的な考え方を理解できず、利益優先で手抜き工事をしたり、重要なことを決定する輩がいます。「福島第一原発事故をめぐり、東京電力の旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された裁判で、東京高等裁判所は「巨大津波の襲来を予測することはできず、事故を回避するために原発の運転を停止するほどの義務があったとはいえない」と判断し、1審に続いて3人全員に無罪を言い渡しました。」(2023年1月18日、NHK NEWS WEB)が報じられましたが、工学的な思考ができない司法、あるいは三権分立といいながら人事権を握る行政に抗しきれない司法の姿が垣間見える気がします*

 「工学教育の中では、JABEE(日本技術者教育認定機構)をはじめとして、その内容を技術者を養成する内容に変えようとする努力をしている。その中でキーとなっているもののひとつが技術者倫理である。これまでの技術者倫理の教科書を越えた内容を追求して、わかりやすく解説している。」と紹介され、「推せん文」で「(略)2011年3月の東日本大震災での影響で、原子力発電所事故をさらなるきっかけとして、社会が技術者の倫理に向けるまなざしは一層厳しく、また、期待を込めたものになってきていると思われます。(略)」と紹介される 比屋根均 (著)「技術の営みの教養基礎 技術の知と倫理」(2012年、理工図書)をBOOKOFF 岡崎井ノ口店で入手しました。事故例を読むと辛い気持ちになるのですが、「読まなければ・・」です。
 類書の黒田光太郎/戸田山和久/伊勢田哲治 (編) 「誇り高い技術者になろう [第2版]」(2012年、名古屋大学出版会)は放送大学の「情報セキュリティと情報倫理(’18)」を通して知りました。
 地動説を説いたためにジョルダーノ=ブルーノは宗教裁判によって1600年に処刑されました。地動説を実証し、1633年の宗教裁判で終身禁固の罰が受けることになったガリレオ=ガリレイが裁判の直後に「それでも地球は動いている」とつぶやいたと言う逸話があります。技術者倫理を考える場合、このガリレオの言葉が浮かんできます。


*:「原子力発電については実質的に上限の60年を超える原発の長期運転を認めることや、これまで想定してこなかった次世代型の原子炉の開発・建設に取り組むといった内容が盛り込まれました。」(2022年12月22日、NHK NEWS WEB)が報じられましたが、この発表の後に東京電力の旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で有罪の判断が下されたら政府の推進しようとすることに対して大きな阻害要因になったのは明らかです。

* * *

 Robin Kerrod (著) "Living in Space" (1986, Multimedia Publications (UK) ; First published Crescent Books)はBOOKOFF SUPER BAZAAR イトーヨーカドー流山店で入手しました。あの事故以前の本ですが、現在、アルテミス計画で再び、人類の活動領域を宇宙に広げる機運が高まっていることから「当時の夢を確認したい」となったことによります。

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(税込520円→税込220円、税込110円)
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技術者倫理:ロボット人間の散歩道:SSブログ
https://robotic-person.blog.ss-blog.jp/2006-05-20-3
Space Shuttle Challenger と技術者倫理:ロボット人間の散歩道:SSブログ
https://robotic-person.blog.ss-blog.jp/2014-04-14-2
明倫館書店で8冊、2.92 kgを入手。そして加藤寛一郎氏の『墜落』シリーズ:ロボット人間の散歩道:SSブログ
https://robotic-person.blog.ss-blog.jp/2015-08-26
明倫館書店で "Telerobotic Applications" 他を入手:ロボット人間の散歩道:SSブログ
https://robotic-person.blog.ss-blog.jp/2015-12-27
「新しい時代の技術者倫理('15)」(放送大学):ロボット人間の散歩道:SSブログ
https://robotic-person.blog.ss-blog.jp/2017-06-16
【詳細】東電旧経営陣3人に無罪判決 東京高裁 判決のポイント | NHK | 東電刑事裁判
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230118/k10013952821000.html
技術の知と倫理 | 理工図書株式会社
https://www.rikohtosho.co.jp/book/666/
技術者倫理概説 (10-08-01-01) - ATOMICA -
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_10-08-01-01.html#:~:text=%E2%80%9D%E6%8A%80%E8%A1%93%E8%80%85%E3%81%AE%E5%80%AB%E7%90%86%E2%80%9D%E3%80%81,%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E8%A6%8F%E7%AF%84%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82%E3%80%8F
「大学で技術者倫理を教えて学んだこと」(技術士 2008.4)PE-04.indb
https://www.engineer.or.jp/c_topics/000/attached/attach_885_8.pdf
技術者倫理を 学ぶ必要性
https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file5823ce72ec8d4.pdf
技術者倫理の向上に向けて
https://www.jsps.go.jp/j-kousei/data/2016_3.pdf
序章 なぜ技術者倫理を学ぶのか
https://www.maruzen-publishing.co.jp/fixed/files/pdf/294884/for_lecture_pdf_294884.pdf
情報セキュリティと情報倫理(’18)|放送大学
https://bangumi.ouj.ac.jp/v4/bslife/detail/157032314.html
誇り高い技術者になろう[第2版] « 名古屋大学出版会
https://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0706-1.html
政府 原発7基 再稼働目指す方針確認 次世代の原子炉開発検討へ | NHK | 各地の原発
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220824/k10013785121000.html
政府が原子力政策転換、次世代炉新設を検討 | 電気新聞ウェブサイト
https://www.denkishimbun.com/sp/226689
脱炭素社会へ政府が基本方針 原子力政策の方向性は大きく転換 | NHK | ニュース深掘り
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221222/k10013931431000.html
Robin Kerrod Books | List of books by author Robin Kerrod
https://www.thriftbooks.com/a/robin-kerrod/255564/
Living in Space book by Robin Kerrod
https://www.thriftbooks.com/w/living-in-space_robin-kerrod/2542359/#edition=28752922


技術の営みの教養基礎 技術の知と倫理

技術の営みの教養基礎 技術の知と倫理

  • 作者: 比屋根 均
  • 出版社/メーカー: 理工図書
  • 発売日: 2012/03/01
  • メディア: 単行本



誇り高い技術者になろう[第2版]―工学倫理ノススメ―

誇り高い技術者になろう[第2版]―工学倫理ノススメ―

  • 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
  • 発売日: 2012/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



Living in Space

Living in Space

  • 作者: Kerrod, Robin
  • 出版社/メーカー: Crescent
  • 発売日: 1986/08/20
  • メディア: ハードカバー



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ハマコウ

わたしの住む地域は20年前までは農業が盛んに行われたところですが、このごろ耕作放棄地が増え、農地転用して太陽光発電を行うところが目立つようになりました。経営が上手くいかなくなったとき、適切に処理が行われるのが気に掛かります。太陽光発電設備の廃棄費⽤積⽴制度が始まったそうですが。
by ハマコウ (2023-01-29 07:18) 

robotic-person

>ハマコウ さん、
廃棄等費用積立制度が2022年7月に開始していたのですね。
 行政の方、太陽光発電の促進に躍起でその設備のライフサイクルについては頭がいっていなかったような気がしてなりません(自然災害などによる施設の崩壊、また、本来、災害を防ぐために重要な場所だったところに太陽光発電施設を設置し、土石流などの災害を招くなど)。
 農業を営む方の高齢化、そして農業収入だけでは厳しい状況から耕作放棄地が増え、農地転用される現状は「止むを得ない」とは思いますが、少し・・

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廃棄等費用積立制度とは何ですか? | 再エネ特措法改正よくあるご質問(FAQ) なっとく!再生可能エネルギー
https://faq.enecho-saiene.go.jp/faq/show/14?category_id=8&site_domain=default
太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について(令和3年9⽉17⽇、資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fip_2020/fip_document03.pdf
【図解】太陽光発電設備の廃棄費⽤積⽴が義務化!いつから?いくら?わかりやすく解説!【改正再エネ特措法】
https://afterfit.co.jp/solar/om/om_7

by robotic-person (2023-01-29 12:08) 

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