『津田塾理科の歴史 女性の自立と科学教育』 [本と映像・音楽の話]
血液型による性格診断と同様、「女性は理数系に弱い」というのは根拠がないと考えています。また、「理数系に弱い女性は社会的につくられているのでは・・」と考えています(ニュースで性差に関する研究発表が時々、とりあげられますが・・ (^_^; )。
男性中心の日本社会において、女性が進出して困るのは男性で、「理数系が弱い」という女性が多いことは競争優位となります。「理数系が得意」と発言すると理屈っぽいというイメージが先行するため、若い女性への社会的期待から不利なため、得意であっても「理数系に弱い」と発言するケースも考えられます。そして理数系を苦手と考えている女性* にとって「女性は理数系に弱い」というのは都合のよい言い訳となります。これは「女性は理数系に弱い」を肯定する社会的バイアスがかかっている状態といえます。(* : 「わかった(^_^)」という喜びが学ぼうという気持ちの原動力となりますが、その感覚を得るまでの時間は個人差があり、この感覚を得られないまま、科目数をこなさざるをえない現状が、(男女に関係なく)苦手意識を産んでいるのではないかと思います。)
中学生時代、隣のクラスにいた理数系にも強い素敵なMIさん(医師を目指していたように記憶)のことを思い出してしまいました・・ (^_^;
最近、古書の入手に歯止めが効かず、神田神保町の明倫館書店で先日もかろうじて2kgを割る5冊(1,970g)の本を入手してきました。その中の一冊が『津田塾理科の歴史 女性の自立と科学教育』(1987年)です。
その「あとがき」に「津田塾理科の歴史を記録する会」の発足の経緯が書かれていて、当時、日本の女子高等教育、とくに科学教育の歴史は、教育史の専門家にさえ知られていず、まとまった記録は、ほとんどなかったことが会の発足の背景にあることが紹介されています。そして本書は単に津田塾専門学校理科(昭和18年4月から8年間存続)について解説したものでなく、日本の明治時代からの女性に対する教育の歴史の解説ともなっています。戦中、戦後の教育を取り巻く記述も「なるほど・・」となりました。
津田塾大学110周年記念事業で『津田塾大学 デジタルアーカイブ 』のWebサイトが公開されています。また、pdfファイルとして入手可能な広報誌 "Tsuda Today"(No.91, 2014年5月30日)で「津田梅子の軌跡」という解説記事が掲載されています。その他、放送大学の『歴史と人間('14)』の第12回の講義で「津田梅子-明治初年の女子留学生-」があります。
2014年は津田梅子生誕150周年にあたるとのことです。多くの方に日本の女性の高等教育の歴史について考えていただけたらと思います。
なお、現在の政府、やたら女性の活用をうたっていますが、少子化対策と女性の社会での活躍を後ろ盾する長期的な視野に立った政策が見えてきません (^_^;
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津田塾大学
http://www.tsuda.ac.jp/
津田塾大学 デジタルアーカイブ 津田塾大学110周年記念事業
http://lib.tsuda.ac.jp/DigitalArchive/
Tsuda Today No.91 (2014年5月30日)
http://www.tsuda.ac.jp/about/tsuda-today/vtngq90000000bsd-att/Tsuda_Today91.pdf
放送大学 授業科目案内 歴史と人間('14)
http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H26/kyouyou/B/kiso/1234226.html
第5回男女共同参画推進シンポジウム「時代を翔ける女性研究者たち ~その軌跡とキャリア展望~」(奈良先端大 男女共同参画室、第14号、2013年1月)
http://www.naist.jp/gender/pdf/news-letter/no_14.pdf
応援しよう!女子中高生の理工系チャレンジ ~女性の理工系進路選択支援事業・参考事例集~
http://www.nwec.jp/jp/data/report_challenge.pdf
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