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南相馬市、相馬市、双葉町へいく [科学技術とジャーナリズム]

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 ある委員会の資料の「福島被災地現況調査(案)」をいただきました。そして南相馬市の震災で壊れたままの家屋、津波で流されて水田地帯に残されたままの自動車やコンテナ、津波で塩害の被害を受けている水田、防潮堤の整備が進んでいないこと、震災ゴミが増え続けていることなどを知りました。そこで書かれた調査ルートをベースに、相馬市、双葉町も加えて9月22日、震災被害からの復興の現状をほんの一部ですが駆け足で見てきました(総走行距離は約790km)。そして
 「震災からの復興は容易でない」
を実感させられました。(追記:『東日本大震災 福島県南相馬市の被害状況写真集』で震災直後の状況が示されています。)
 「私のできることをできる方法で応援を続けていこう」です。
 以下、現地の写真です(小高川の壊れた護岸堤防近くにいたのが上の鳥さんです)。

■ 建物の被害
 沿岸に近い地域に震災から2年半経ちましたが、地震や津波の被害を示す建物が各所にありました。小高区塚原の住居跡には亡くなられた方へのお供えと思われるものも置かれていました。
 国道6号線を走りながら道路沿いの浪江町、双葉町の店舗、家屋なども震災の被害を残したままのものが多いことを確認しました。相馬市の沿岸部を県道74号線を通って日が暮れていく中で走りましたが、家の灯がつかない民家が多いことも気になりました。

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小高駅(常磐線)近くの「立入り禁止」の表示がされた建物
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小高区塚原の津波の被害を受けた家屋の基礎
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原町区小沢近くの屋根が壊れた建物(当然、その下の部分も・・)
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原町区小沢近くの建物の下部の地面が削られ、傾いた家と津波で流されてきた船
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原町区堤谷の津波の被害を受けた建物


■ 津波で水田地帯に流された自動車、コンテナなど
 津波で様々なものが流されましたが、水田地帯に片付けられることなく、残されていました。それは私が巡った水田の各所で見られました。鉄の塊のようになってしまった自動車などの姿に津波の脅威を改めて認識させられました。

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小高区福岡に津波で流されてきた自動車、コンテナ、船舶など
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小高区塚原の津波で流されたバックホー
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小高区塚原の津波で流された自動車、農業機械など


■ 堤防などの沿岸の構造物の破損状況
 津波により多くの堤防が壊されました。震災から2年半が経ち、壊れた堤防の撤去工事が進行中のため、大震災直後の状態を想像しながら構造物の破損状況を見ました。工学関係の色々な本を集めているおかげで、『土木工学ポケットブック』(1980年、山海堂)も蔵書していて、帰宅して撮影した写真を対比させて調べましたが、気になることがあってもっと詳しく書かれた本が欲しくなりました。

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村上海岸
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村上海岸の津波で壊された防潮堤
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小高川の護岸堤防の破損状況(床版が斜めに)
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津波の力で倒された対岸の村上海浜公園の「ふれあいハウス」
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対岸の村上海浜公園に渡る橋の桁は津波で流され、橋脚のみが残る

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烏崎海浜公園の防潮堤の破損状況


■ 道路
 写真のように道路の路肩が津波で大きくえぐられたものがありますが、水田地帯のアスファルト舗装の道路でやはり路肩の土が削られいる部分があり、不用意に自動車の車輪を乗せるとタイヤが落ちるのではと気になる部分もありました。道路の防護柵、津波で流された様々な物によってでしょうか、大きく曲がっていました。以前の水田には大きな池ができていました。国道6号線には各所に津波浸水区域の表示がありました。

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小高区塚原
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国道6号線に表示の津波浸水区間


■ 水田
 津波により、塩害などで水田は大きな被害を受けています。

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原町下江井


■ 災害ゴミ
 災害ゴミ仮置場となっている鹿島区烏崎で木片、コンクリート、船など様々な災害ゴミが集積されて山になっているのを見ました。

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鹿島区烏崎の災害ゴミの集積所


■ 避難指示解除準備区域
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双葉町における避難指示区域及び警戒区域の見直しについて(METI-経済産業省)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/20130507_01.html

 「平成25年5月28日以降」として双葉町の大字両竹、大字中野、大字中浜が避難指示解除準備区域となりました(上の地図の双葉町の薄緑に塗られた地域。他は帰還困難区域のまま)。そこで南相馬市から国道6号線を南下しました。平成25年4月1日から避難指示解除準備区域になった浪江町を国道6号線から見ると震災で壊れた家屋や店舗などが目につき、人の生活している空気を感じることはできませんでした。途中、立たれている関係者と思われる方に6号線の通行について聞き、通行証を確認する場所があり、通行証を持っている人しか通れないことを確認した上、「その場所まで・・」と進みました。そして双葉町の高津交差点からいわき市寄りに500mほど進んだところで通行証の確認作業が行なわれている現場を見ました。

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国道6号線の双葉町への通行証を確認する場所




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「双葉町通行証」及び「双葉町臨時通行証」のお申し込み手続きについて 双葉町公式ホームページ
http://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/2730.htm


■ 南相馬市への経路計画と実際
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福島県ホームページ - 組織別 - 帰還困難区域迂回路情報
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet;jsessionid=DAC5CA53F7527DA029C08DB84F8A4678?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=29119

 福島県から上の地図のように道路規制と迂回路情報が掲載されていることから、東北自動車道を経由して南相馬市へ入ることにしました。
 日程は24時間をフルに使うことにし、夜中に東北自動車道で安達太良SAに移動し、その駐車場で車の中で仮眠をとり、夜が明けたら南相馬市への一般道を走ることにしました。カーナビの行き先に南相馬市役所を設定し、「カーナビの地図情報には道路規制情報は入ってないだろうから、福島松川スマートICを出れば規制にひっかることなく南相馬市にスムーズに辿りつけるかな」と考えたところ、カーナビの案内は国道115線から相馬市を経由して南相馬市に入るルートを選んだようです。このため、途中、カーナビの指示を無視して国道349号線から直接、南相馬に入る県道12号線に道を変えました。300番台の国道は心の準備をして走る必要のあることを思い出させられました。
 2011年に発行された『東日本大震災 復興支援地図』(昭文社)が現地を走るのに、また、被災直後と現状の比較に役立ちました。
 帰りの東北自動車道、那須を先頭に20km渋滞という交通情報を聞き、「渋滞が解消されるまで」と、再び、安達太良SAで仮眠をとりましたが、疲れていたためか、予定より寝すぎてしまい、24時間で住処に戻るという計画は実現できませんでした (^_^;

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福島県ホームページ - 組織別 - 区域見直し等について
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet;jsessionid=17CB80875C0D08F5EBCE5D90EA9C9A00?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=29992
福島県通行規制情報
http://www.pref.fukushima.jp/douro/kisei/kisei-list.htm
東京電力株式会社福島第一原子力発電所について-原子力被災者支援-(METI-経済産業省)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#shiji
「東日本大震災 復興支援地図」を作成、被災地の災害対策本部などへ無償提供 トピックス一覧 - 明日、どこ行く?|地図とガイドブックの昭文社
http://www.mapple.co.jp/mapple/news/2011/05/267.html
「東日本大震災 復興支援地図」発売 トピックス一覧 - 明日、どこ行く?|地図とガイドブックの昭文社
http://www.mapple.co.jp/mapple/news/2011/06/269.html

東日本大震災 復興支援地図

東日本大震災 復興支援地図

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 昭文社
  • 発売日: 2011/06/06
  • メディア: 大型本



追記
 震災直後の南相馬市の原町区小沢、小高区塚原付近などの津波による瓦礫が散乱する状況を示すWebサイトを見つけましたので、下記に紹介します。

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東日本大震災 福島県南相馬市の被害状況写真集
http://shi.na.coocan.jp/tohokukantodaijisin-4.html
下枝空撮 写真部屋 <しもえだ空撮>
http://shi.na.coocan.jp/right.html
・ このWebサイトの中に上記の写真集があります。
河北新報ニュース 鳥の目線で震災記録 無線ヘリで沿岸部空撮 宮城・亘理
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/20130510_05.htm
下枝空撮写真部屋さんの投稿 - 東日本大震災 写真保存プロジェクト
http://archive.shinsai.yahoo.co.jp/user/YJZPKKB4VQL5WMYYJLW674LV5Q/

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うえいぱうわ

あれから、それなりの時間は経過したものの、
被害の規模があそこまで大きいと、復旧する
のも容易ではないってことですね。
まだ時間はかかるんだろうなあ。
by うえいぱうわ (2013-09-24 20:38) 

robotic-person

>うえいぱうわさん、
福島第一原発の事故で避難指示区域に指定されたことが、復興をより困難なものにしていることを実感させられました。
by robotic-person (2013-09-24 20:54) 

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