サイエンス・コミュニケーターに役立つ本 [本と映像・音楽の話]
翻訳本は、原著者が想定した読者と異なった読者を対象として翻訳され、世に出てしまう場合があるようです。下記の本の原題は"Machine in Motion"で、サイエンス・コミュニケーションに関わる人ならば知っている王立協会のこどものためのクリスマス講演の内容を1冊の本にまとめたもの。実験の写真や図が多数挿入されていて、基本的にわかりやすい本にできるはずなのですが、訳文が教科書調でそれが伝わってきません。原文のもつ科学に興味を持ちはじめた若い読者に語りかけるような調子が失われてしまったようです。
1992年の出版当時、サイエンス・コミュニケーターは日本では認知されていなかったことから、出版社も読者層の設定に苦労したものと思われます。文章についてはそのような課題がありますが、サイエンス・コミュニケーターが活動を企画する上で参考となる内容であることは確かです。
The Royal Society
http://www.royalsoc.ac.uk/
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