SSブログ

「故障した脳」 [脳、心、リハビリ]

 統合失調症の権威者の一人と数えられるNancy C. Andreasenの1984年の著書、"broken Brain"は脳の疾患が心の病を生じさせているという観点から、脳科学や様々な事例を通じて精神医学が解説されています。この訳書が「故障した脳」。本書で紹介されるDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)は3訂で、現在は1994年改定のDSM-IV(下記のWebサイト参照)になっているなど、記述がふるくなっている部分も散見されますが、現在、読み直しても得るものが多い本と思います。特に、「アメリカを除くすべての国で、フロイトでなくクレペリンが現代精神医学の父と受けとめられている」の一文は「目から鱗」です。

故障した脳―脳から心の病をみる

故障した脳―脳から心の病をみる

  • 作者: ナンシー・C. アンドリアセン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1986/07
  • メディア: 単行本

Complete List of DSM-IV Codes
http://www.psychnet-uk.com/dsm_iv/_misc/complete_tables.htm

 本書中で、ECT(電気けいれん療法)が映画「カッコーの巣の上で」で不適当な描かれ方をされていることが指摘されていますが、この映画ではロボトミー手術についても描かれています。手術によって人格を変えてしまう・・・、やりきれない気持ちにおそわれた映画でした。(日本でロボトミーが完全に行われなくなったのは、1975年に日本精神神経学会が「精神外科を否定する決議」の可決を行なってから・・)

カッコーの巣の上で

カッコーの巣の上で

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2007/01/26
  • メディア: DVD

 また、本書では小説が映画化された作品として"Ordinary People"(邦題:普通の人々)を感情障害(うつ病)の患者の苦しさを正確に描き、家族への影響を描いた作品として紹介しています。ロバート・レッドフォードの初監督作品ということで興味があって初めて観た時、家族の崩壊というテーマの重さに負けそうになった自分がいたことを今でも思い出します。

普通の人々

普通の人々

  • 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
  • 発売日: 2006/11/02
  • メディア: DVD


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント