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「裁判員制度の正体」、「裁判員のためのかみくだき刑法」 [本と映像・音楽の話]

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 2009年から裁判員制度が始まりました。「裁判員制度とは、刑事裁判に、国民のみなさんから選ばれた裁判員が参加する制度です。 裁判員は、刑事裁判の審理に出席して証拠を聞き出し、裁判官と対等に論議して、被告人が有罪か無罪か(被告人が犯罪を行ったことにつき「合理的な疑問を残さない程度の証明」がなされたかどうか)を判断します。「合理的な疑問」とは、みなさんの常識に基づく疑問です。常識に照らして、少しでも疑問が残るときは無罪、疑問の余地はないと確信したときは有罪と判断することになります。有罪の場合には、さらに、法律に定められた範囲内で、どのような刑罰を宣告するかを決めます。裁判員制度の対象となるのは、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪などの重大な犯罪の疑いで起訴された事件です。原則として、裁判員6名と裁判官3人が、ひとつの事件を担当します。」(「裁判員制度ってどんな制度?」(日本弁護士連合会))とされます。
 「裁判員裁判の成果と問題点」(東京弁護士会;リンク先はpdfファイル)で「裁判員裁判が始まった平成21年5 月21日から平成22 年 2 月 28 日までに起訴された裁判員裁判対象事件は全国で 1458 件,地裁別にみると東京地裁 174 件,大阪地裁134件,千葉地裁141件の3 地裁が突出しており,大阪,千葉はそれぞれ国際空港が設置され,覚せい剤取締法違反事件の占める割合が多い。罪名別には,強盗致傷 361 件,殺人 319 件,次いで現住建造物等放火 129 件,覚せい剤取締法違反 104 件,強姦致死傷98件,傷害致死85件となっている。」と報告されています。「私が裁判員になってこれらの事件で起訴された人を裁くことができるか?」と考えると、正直、困難さを感じます。強盗殺人事件で裁判員を担当した女性が、遺体の写真を見て急性ストレス障害になり、2013年に損害賠償を求めて国を提訴したことが報じられ、その後、「裁判員・補充裁判員の保護について 心理的ケアを中心に」が伝えられ、凄惨な写真を見せない工夫もされるようになっているようですが、事件の詳細を耳にして傷ついた心を元に戻すのは難しいと思います。
 最高裁判所のWebサイトの「裁判員制度Q&A」の中の「Q:法律の専門家でない国民が加わると,裁判の質が落ちたり,信頼が損なわれたりしないでしょうか。」に対して「A:そのようなことはありません。 法律的な判断はこれまでどおり裁判官が行いますし,必要な場合には裁判員のみなさんにもご説明します。 裁判員のみなさんには,「事実認定」と「量刑」について判断していただきます。これについては,法律的な知識は必要ありません(「法律を知らなくても判断することはできるのですか。」のQ&Aを参照してください)。 さまざまな人生経験を持つ裁判員と裁判官が議論することで,これまで以上に多角的で深みのある裁判になることが期待されます。」と回答されています。そして「法律を知らなくても判断することはできるのですか。」のQ&Aでは「裁判員は,法廷で聞いた証人の証言などの証拠に基づいて,他の裁判員や裁判官とともに行う評議を通じ,被告人が有罪か無罪か,有罪だとしたらどのような刑にするべきかを判断します。例えば目撃者の証言などに基づいて,被告人が被害者をナイフで刺したかどうかを判断することは,みなさんが,日常生活におけるいろいろな情報に基づいて,ある事実があったかなかったかを判断していることと基本的に同じですので,事前に法律知識を得ていただく必要ありません。なお,有罪か無罪かの判断の前提として法律知識が必要な場合は,その都度裁判官から分かりやすく説明されますので,心配ありません。」とされます。
 ただ、上記の内容、若干、法学について学んだことがあり、「法的な考え方を身につけることは最低限、必要で自分自身で判断する力なく「裁判官から分かり易く説明」を受けて裁判官の思惑の通りに行動する可能性が高いと思われます。人の心を理解できない司法の論理で書かれた記述としか思えません。

 裁判員制度の始まる前の本ですが、「手抜き審理の横行、裁判員に及ぶ迷惑など、問題山積の新制度が日本の司法を、国民の生活を滅ぼす!長らく判事を務めた大学教授が「現代の赤紙」から逃れる方法を伝授し、警鐘を鳴らす1冊。」と内容紹介される 西野喜一 (著)「裁判員制度の正体」(2007年、講談社)をBOOKOFF 6号松戸馬橋店で入手しました。また、「2009年5月から始まる裁判員制度。これによって選挙権のある人間のほとんどが裁判員の候補となる。多くの人が、そこで「人を裁く」という、あまりにも難しい問題に直面する。その指針となるのが「刑法」。本書は、あまりにもわかりやすい、刑法の入門書。」と内容紹介される 森炎 (著)「裁判員のためのかみくだき刑法」(2009年、学習研究社)はBOOKOFF SUPER BAZAAR イトーヨーカドー流山店で入手しました。

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(税込110円、税込275円→税込110円)
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裁判員制度
https://www.saibanin.courts.go.jp/index.html
もし、あなたが裁判員に選ばれたら?裁判ではどんなことをするか知っていますか? | 政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202011/1.html
裁判員制度Q&A | 裁判員制度
https://www.saibanin.courts.go.jp/qa/index.html
法務省:御協力 お願いします 裁判員
https://www.moj.go.jp/keiji1/saibanin_seido_index.html
裁判員制度広報ページ | 裁判所
https://www.courts.go.jp/sapporo/about/l3/sapporo_saibanin10th.html
裁判員制度の現状と課題について(岡山地方裁判所)
https://www.courts.go.jp/okayama/vc-files/okayama/file/281130tisaiiinkaihaihusiryou2.pdf
裁判員制度ってどんな制度? | 裁判員制度 | 日本弁護士連合会
https://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/about/index.html
知っておきたいこと | 裁判員制度 | 日本弁護士連合会
https://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/becoming/index.html
裁判員制度とは|裁判員ってどんな仕事?|法教育プログラム|東京弁護士会
https://www.toben.or.jp/manabu/saibanin/about.html
裁判員裁判の成果と問題点 - 東京弁護士会
https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2010_05/p02-14.pdf
【裁判員制度10年(1)】遺体写真「配慮」の加工 負担軽減へ絞られる証拠|【西日本新聞me】
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/521764/
裁判員がストレス障害 福島の女性「脳裏に殺害現場写真」 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1705F_Y3A410C1CC0000/
「裁判員・補充裁判員の保護について 心理的ケアを中心に」
https://www.moj.go.jp/content/000112001.pdf
義務なのに負担が大きすぎる? 見えてきた裁判員制度の課題とは | 夢ナビ講義 | 夢ナビ 大学教授がキミを学問の世界へナビゲート
https://yumenavi.info/vue/lecture.html?gnkcd=g011009
裁判員制度-中学 | NHK for School
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005402902_00000
西野喜一 (にしの きいち)氏の放送動画(1件) - VIDEO NEWS
https://www.videonews.com/guest/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E5%96%9C%E4%B8%80
『裁判員制度の正体』(西野 喜一):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210389
さらば、裁判員制度 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
https://www.minervashobo.co.jp/book/b185353.html
森炎 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E7%82%8E
学研新書『裁判員のためのかみくだき刑法』 | 学研出版サイト
https://hon.gakken.jp/book/1340402400
司法研修所編「難解な法律概念と裁判員裁判」(法曹界)
https://www.hosokai.or.jp/item/annai/jyuhan/jyuhan_201309.html
裁判所 (Courts in Japan) のサイトで判例を:ロボット人間の散歩道:SSブログ
https://robotic-person.blog.ss-blog.jp/2007-12-09
『裁判員制度』のスタートまであと1ヶ月:ロボット人間の散歩道:SSブログ
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「罪と罰の事典 ー 「裁判員時代」の法律ガイド」、「アメリカ人弁護士が見た裁判員制度」:ロボット人間の散歩道:SSブログ
https://robotic-person.blog.ss-blog.jp/2023-03-30-1


裁判員制度の正体 (講談社現代新書)

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  • 作者: 西野 喜一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/08/17
  • メディア: 新書



裁判員のためのかみくだき刑法 (学研新書 46)

裁判員のためのかみくだき刑法 (学研新書 46)

  • 作者: 森 炎
  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2009/01/01
  • メディア: 新書



さらば、裁判員制度—司法の混乱がもたらした悲劇

さらば、裁判員制度—司法の混乱がもたらした悲劇

  • 作者: 西野 喜一
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2015/01/30
  • メディア: 単行本



裁判員制度は本当に必要ですか?:司法の「国民」参加がもたらしたもの

裁判員制度は本当に必要ですか?:司法の「国民」参加がもたらしたもの

  • 作者: 織田 信夫
  • 出版社/メーカー: 花伝社
  • 発売日: 2020/04/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



裁判員制度の10年

裁判員制度の10年

  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: 単行本



解説 裁判員法―立法の経緯と課題 第3版

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  • 出版社/メーカー: 弘文堂
  • 発売日: 2016/09/12
  • メディア: 単行本



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