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野原明著『戦後教育五十年』、加藤寛著『教育改革論』 [本と映像・音楽の話]

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 放送大学の『現代の教育改革と教育行政('10)』(主任講師: 小川正人)を聞いていて教育の現場にいる先生方が様々な制度に縛られながら教育に取り組まれていること、そして政治や行政に翻弄される教育の姿を考えさせられました。そのことが引っ掛かっていたようで、明倫館書店へでかけた際、お隣の一誠堂書店の店頭の平置き台にあった日本の教育に関する新書を何冊か、購入してきました。


■ 野原明著『戦後教育五十年』と文部省編『学制百年史』、『学制百二十年史』

 野原明著『戦後教育五十年』(1995年、丸善ライブラリー)は1945年から1995年までの教育制度やそれに関する政策などが様々な視点からわかりやすく解説されています。例えば国際バカロレアは、インターナショナルスクールや各国の現地校の卒業生に国際的に通用する大学入学資格を付与する仕組みで、JAXAの星出彰彦宇宙飛行士が大学受験資格を国際バカロレアの適用によって得たことは国際バカロレアに関心ある人には知られていることですが、その制度についても触れられています。
 文部省編『学制百二十年史』 * からの抜粋が本書の各所で紹介されますが、その文面を目にしていて「行政側の立場から書くとこうなるのか」ということ、そして行政の資料を利用する場合、それが書かれた背景まで踏み込んで用いるべきであることに気づかされました。著者の野原明氏は朝日放送記者を経てNHKに入局し、教育・文化、皇室問題などの解説委員となった方でそのような経験に基づく視点からまとめられていることが、それに気付かせてくれたのかもしれません。

* : 本書の【参考文献】の筆頭にあげられる『学制百年史』、『学制百二十年史』(1971年(昭和46年)までの記述は『学制百年史』の内容の要約)、「明治五年の学制頒布以来、百年間(百二十年)の教育の発達のあとを、制度を中心として概述」とするもので、文部科学省:白書のWebサイトから閲覧できます。
 教育に関わる資料・情報をさがすのに北海道大学大学院教育学研究院・教育学院のWebサイトも参考となりそうです。

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国際バカロレアについて:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/
国際バカロレアの趣旨を踏まえた教育の推進:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoiku_kenkyu/
国際バカロレア検討委員会報告書について|東京都
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2013/03/20n3s600.htm
・ 海外大学への進学資格が取得できる都立高校初の国際バカロレア認定校を目指すことを
一般社団法人グローバル教育情報センター(GEIC) » 国際バカロレア委員会
http://geic.jp/international-baccalaureate
国際バカロレア資格都立国際高が認定取得へ 公立で全国初 /東京- 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20130316ddlk13100096000c.html
国際バカロレア取得授業、15年春から日本語で 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130516-OYT1T01703.htm?from=ylist
星出彰彦 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E5%87%BA%E5%BD%B0%E5%BD%A6
白書:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/hakusho.htm
学制百年史:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317552.htm
学制百二十年史:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318221.htm
教育に関わる資料・情報をさがす 北海道大学大学院教育学研究院・教育学院 教育学部
http://www.edu.hokudai.ac.jp/outline/library4.html

戦後教育五十年 (丸善ライブラリー)

戦後教育五十年 (丸善ライブラリー)

  • 作者: 野原 明
  • 出版社/メーカー: 丸善
  • 発売日: 1995/11
  • メディア: 新書


■ 加藤寛著『教育改革論』と政策研究大学院大学
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 加藤寛著『教育改革論』(1996年、丸善ライブラリー)の「五 自由化批判に答える」で、絶版となった加藤寛・阿部美哉・吉村融著『新時代の高等教育を考える ― 画一的教育からの脱却』(1986年、PHP研究所)で「学校教育自由化論」に対する誤解についての解答を再録とされ、当時の学校教育自由化がどのように考えられていたか、確認する上では参考となります。ただ、総花的で論旨が明確に読み取れません(単に私の理解力の乏しさかもしれませんが・・)。「あとがき」に国立政策研究院(政策理論から実践を考究する独立大学院)という名称があり、「?」となりましたが、政策研究大学院大学であることをWeb検索で確認できました。
 ところで政策研究大学院大学、外国の将来、その国を担っていく人たちの学びの場となって日本との良好な関係を築いていくことが役割として期待されますが、うまく実績があげられているか、気になります。一方、地方行政に携わる人の学びの場ともなっていて、例えば教育関係では「自由化・規制緩和の時代の自治体に不可欠な「独自の教育政策を」企画・実践できるエキスパートを育成します。」と募集に関する記載がありますが、地方の負担が増える中、国の意向を理解して地方で活躍してくれる人材を育成しているのではと少々、裏読みも・・ (^_^;

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国立新美術館側から政策研究大学院大学を見る

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政策研究大学院大学(GRIPS) 未来の政策リーダー・研究者の国際的研究拠点
http://www.grips.ac.jp/jp/
政策研究大学院大学 自治体「教育政策担当者」向け大学院コース 
GRIPS「教育政策プログラム」 2013年度学生募集のお知らせ
http://www3.grips.ac.jp/~education/program/img/GRIPS-EPP.pdf
GRIPS Research Center
http://r-center.grips.ac.jp/JPSite
フランス国立行政学院 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E8%A1%8C%E6%94%BF%E5%AD%A6%E9%99%A2

教育改革論 (丸善ライブラリー)

教育改革論 (丸善ライブラリー)

  • 作者: 加藤 寛
  • 出版社/メーカー: 丸善
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 新書



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