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戸塚洋二氏のblogとD.M.マッケイの『ビハインド・アイ』 [本と映像・音楽の話]

 2008年7月10日に亡くなられた素粒子物理学者の戸塚洋二氏が匿名で綴られたblogでのがん闘病記 "The Fourth Three-Months" は、NHKの7月5日の番組「物理学者 がんを見つめる 戸塚洋二 最期の挑戦」で紹介され、多くの人の知るところになりました。
 Donald MacCrimmon MacKay, Valerie MacKay (原著), 金子隆芳(訳)『ビハインド・アイ 脳の情報処理から何を学ぶか』(1993年、新曜社)は「脳が脳を科学する」という哲学的な側面も持つ脳科学の研究方法、姿勢についても述べられ、多くの人に薦めたい本です。この本は1987年にリンパ腫で亡くなる前年に著者がグラスゴー大学で講義した内容をもとに未亡人が編集して出版されたもので、著者が迫る死を認識しながら講義したであろうことが想像されます。
 単純すぎるかもしれませんが、二人の科学者が自ら迎える死に対して対峙した姿勢に何か共通のものが感じられます。 「余命を実際に宣告された場合、私はどのように振舞うのか・・」、考えさせられています。

 戸塚洋二氏のblogをもとに立花隆氏の編集で「がんと闘った科学者の記録」(2009年、文藝春秋)が出版されています。(追記:blogを書いた当時、それに続いて「しかし、何か割り切れないものを感じています。(「blogを読めない人にとっては本も必要」と頭の中では理解できるのですが、商業主義的なものも感じられて・・)」と書きましたが、2017年現在、"The Fourth Three-Months"のURLアドレスだった fewmonths.exblog.jp が異なったタイトルで全く関係ない内容で使用されているのを知り、「戸塚洋二氏の書かれたblogの内容を伝えていくにはその方法しかなかったのか・・」と認識させられました)。

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ビハインド・アイ - 新曜社 本から広がる世界の魅力と、その可能性を求めて
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b456328.html
『がんと闘った科学者の記録』戸塚洋二 立花隆 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163709000


ビハインド・アイ―脳の情報処理から何を学ぶか

ビハインド・アイ―脳の情報処理から何を学ぶか

  • 出版社/メーカー: 新曜社
  • 発売日: 1993/04/01
  • メディア: 単行本



Behind the Eye (Gifford Lectures, 1986)

Behind the Eye (Gifford Lectures, 1986)

  • 出版社/メーカー: Blackwell Pub
  • 発売日: 1991/06/01
  • メディア: ハードカバー



がんと闘った科学者の記録

がんと闘った科学者の記録

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: 単行本



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