「アパート建築が止まらない」（2015年5月11日、NHK クローズアップ現代）と私の研究 [科学技術とジャーナリズム]
約20年ほど前になりますが、住宅建設需要の将来予想のシミュレーションをしていました。シミュレーションの考え方は人のライフサイクルによって住宅需要が高まる時期があり、年齢別人口の将来予測 * を行うことで住宅需要を求め、また、供給側となる住宅については既存の住宅の住宅建設時期から耐用年数（仮定）で住宅数を減じ、需要と供給の差を住宅需要とする定性的なアプローチでした（計算自体は単純でExcelで計算できるレベルのものです）。この方法は「過去の住宅建設数はどうであったか?」という分析を行なう上で、ひとつの視点を与えてくれ、「差異の原因は?」に対して歴史的な観点、景気、都市への人口移動、そして不動産業の影響など、モデルの精度を高める上で考えなければならないことが多いことを気付かせてくれ、その予測は容易でないことを教えてくれました。
5月11日のNHKのクローズアップ現代、「アパート建築が止まらない」として「サブリース」（オーナーの資金でアパートを建設させて、そのアパートを不動産屋が借り上げて入居者に転貸するもの）で「家賃保証」としながら契約に疎いオーナーをだましている実体（建設と「サブリース」の手数料の2つで儲ける）を伝え、また、地方都市の行政の開発に疎いところにつけこんでその街の環境を悪化する実態も紹介していました。
日本の不動産業、言葉の上ではもっともらしいことをいいますが、「営利第一主義で、地道によい住環境（住宅をつくらないという選択を含めて）を提供するという高邁な思想とは無縁な連中」という見方を払拭できません **。
* ： その研究の課程で人口問題研究所による人口の将来推計の手法を調べ、「これは何だ!!」と愕然とさせられました。「研究自由」の原則がありますが、仮定してよい値と仮定してはだめな値があります。目にしたのは女性の年齢別出生率の仮定が現実的にはありえない値を入れたものであることでした。（→ これを知ったため、私の研究では人口問題研究所の人口推計は使わず、国勢調査などのデータをもとに本に書かれる人口推計の手法をExcelでプログラム化し、処理することになりました。）
この人口の将来推計を用いて政策が立案され、また、多くの研究者がその将来推計を信じて論文などを書いていることを考えると、人口問題研究所の罪は大きく、「それに携わった人間は研究者と名乗るべきでない」と怒り心頭に発するという気分になりました。そして日本オペレーションリサーチ学会の学会誌で人口推計に対する批判がなされていることを見つけました。
今日の日本の社会福祉に関する政策の失敗、当時の厚生省、人口問題研究所の罪は大きいです。
** ： 1980年台後半から1990年台初にかけての日本のバブル景気、金融機関とともに、強引な手口による地上げなどで、地域のつながりを崩壊させてしまったは不動産業です (T_T)
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アパート建築が止まらない - NHK クローズアップ現代
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3648.html
崩壊する家賃保証のサブリース契約の罠！オーナーが泣くケースが多発 - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2140410474495781501
サブリースの問題点 - 愛和地所
http://www.aiwachisho.co.jp/column/sub.html
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大東建託株式会社 決算説明会（平成20年）
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代表的な土地活用システムの特徴｜土地活用の東建コーポレーション
http://www.token.co.jp/estate/marutoku/estate/view/04/
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http://www.nomu.com/rent/lease.html
この番組を見ました。
法律の隙間を利用して儲けようとする企業を、すっかり信用して投資してしまった老夫婦たちが、かわいそうでした。
by とし＠黒猫 (2015-05-12 12:26)
＞とし＠黒猫さん、
ご覧になりましたか・・。日本の制度の抜け穴を狙ってオーナーとなる人たちを食い物をしている連中、「人間として恥ずかしくないのか!!」というやりきれない気持ちとなり、記事を書いてしまいました。
by robotic-person (2015-05-12 12:35)