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「第12回 宇宙科学シンポジウム」(1月5, 6日、JAXA : 宇宙科学研究所) [科学技術とジャーナリズム]

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JAXA : 宇宙科学研究所 (相模原キャンパス)
http://www.isas.ac.jp/j/index.shtml

 ニュースなどで報道されていますが、東日本大震災の震災復興のために小惑星探査機「はやぶさ2」に対する要求予算が大幅にカットされる一方、「準天頂衛星」に要求額以上の予算をつけるなど、宇宙開発予算は科学より利用に重点が置かれるものとなっています。1月5、 6日開催の「第12回 宇宙科学シンポジウム 」、この「はやぶさ2」ショックの直後であることから、気になってででかけてきました。
 5日の午後3時40分(プログラム上で)から「今後の宇宙科学プログラムの実行のあり方」として、各コミュニティにおける今後の展望(天文学及び関連分野の将来展望、地球惑星科学と探査、宇宙工学ミッション)、また、「様々な規模の宇宙機を駆使して、頻度と科学的成果を両立させる今後の宇宙科学ミッションの創出戦略」とするパネルディスカッションが行われましたが、「はやぶさ2」ショックにどのように対応してよいか戸惑いの中に、まだあり、従来の延長線上で議論がなされたように感じました。
 その後、「宇宙基本法下の宇宙科学の推進に関する理工学委員会へのメッセージについて」として宇宙理学委員会、宇宙工学委員会の連名で内閣官房宇宙開発戦略本部にだされたとされる書面の説明がありました。

 上記のパネルディスカッションで会場に求めた意見の中に、サイエンスライターと思われる氏から「日本の宇宙科学を推進するのが役目であって論文云々するのはおかしい」といった内容の発言があり、「・・」となってしまいました。宇宙科学に携わる人は霞を食って生きている訳ではなく、一人一人の生活があります。ポスドクという立場で最長5年という制限の中で成果(研究成果を示す論文)を求められる状況にある人もいます(成果がだせねば次の働き先がありません)。そのような不安定な厳しい条件の中で研究に取り組んでいる人がいることを氏には理解して欲しいと思います。LUNAR-Aというプロジェクトがありましたが、開発の遅れなどから計画中止となり、その研究に携わった人たちの悲痛の声を聞いたこともあります。取材対象に影響を及ぼしてしまう意見を述べるのは、ジャーナリストにとって禁忌だと思います(テレビの記者会見の中継で、国民の代表がごとくの意見を述べてから質問をする輩(○○というマスメディアの所属を名乗っていますが本当にジャーナリスト?)の姿を目にした時、私が強い違和感を抱く理由はそのため。氏が仮にジャーナリストを名乗っていたらと思うと・・・。

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【追記】
 宇宙科学のプロジェクトは(他国との競争の中、抜きん出た成果を得るために)「できるか、できないか、わからない」のぎりぎりのところで計画がすすめられる場合があります。高精度9m展開アンテナの技術的困難さから、昨年、ASTRO-Gのプロジェクトが中止されています。

ISAS 電波天文衛星 ASTRO-G(VSOP-2計画) - 科学衛星
http://www.isas.ac.jp/j/enterp/missions/astro-g/index.shtml

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ISAS 第12回 宇宙科学シンポジウム - 研究会・シンポジウム
http://www.isas.ac.jp/j/researchers/symp/sss12/index.shtml
12年度予算案:「はやぶさ2」に30億円 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111224k0000e040124000c.html
内閣府:「宇宙戦略室」を新設 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111223k0000m010044000c.html
はやぶさ2、予算の危機について 松浦晋也のL-D
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2011/12/2-e8f0.html
月探査情報ステーションブログ » 「はやぶさ2」予算減についての川口元プロジェクトマネージャーの声明
http://moonstation.jp/ja/blog/index.php?itemid=500
宇宙開発戦略本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/

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