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WACHSEN BA-160 Fran ってどうなの? [2. 道具(自転車)]

ba-160fran.jpg
WACHSEN BA-160 Fran < 16インチ 折りたたみ自転車、7段変速付 > (HANWA LTD.)
http://www.b-grow.com/wachsen/ba-160/
注: 各部の寸法・角度はPhotoshopを使っての本bloggerの推定

 「WACHSEN BA-160 Fran ってどうなの?」と質問され、「タイヤとギア比の組合せから16インチの自転車の中では走るかもしれないけれど *、20インチのBA-100のような速く走らせるための改造の余地がないため、関心がない」と答えました。ご本人はBA-160 Fran に心が傾いていて、背中を押して欲しかったようなのですが、肩透かしをくらわせてしまったようです。

 少し、気になってBA-160 Fran がどのような自転車か、寸法から検討してみました。

 HANWA LTD. のWebサイトのBA-160 FranのSpecとして寸法関係で示されているのは外形寸法の137cmx55cmx87cmとサドル高さの63~82cm、ハンドル高さ87cmです。そしてタイヤは16×2.0を履いているようです。16×2.0のタイヤ外径は396mmですので、ホィールベース長は全長からタイヤ外径を引くと97.4cmとなります。BA-160 のWebサイトのフレームのページで「(略)1000mm超のホイールベースが(略)」と書かれていて「あれ?」なのですが、とりあえず、137cmという全長が正しいとします。また、上の寸法や角度はPhotoshopを使ってBA-160の写真から推定したもので、カメラが自転車に正対した位置にないと誤差が大きくなるのですが、傾向をつかまえるのには十分として計算を進めます **

 BA-100 Angriffの写真の分析ではフォーク角72°、シートチューブ角は75°、ヘッドチューブの上端とサドルポストの中心間の水平距離は560mm、BB高さは約310mmとなりました。これに対してBA-160 Franの写真の分析ではフォーク角67.6°、シートチューブ角は72.2°、ヘッドチューブの上端とサドルポストの中心間の水平距離は520mm、BB高さは約280mmです。フォーク角が寝ているのは16インチという小径タイヤで走行安定性を得られるようにトレール長50mm程度を確保するための設計です(下記のblog参照)。シートチューブがBA-100より寝ているのはハンドルとサドル間の距離を確保するため、フォーク角が寝たことの影響を受けてこのような角度になったものと考えられます。それでもヘッドチューブの上端とサドルポストの中心間の水平距離はBA-100より40mm短く、窮屈な感じとなることが想像されます。(DAHONのBoardwalk D7のそれは約60cmです。)
 自転車を選ぶ上で重要なのが適応股下長ですが、サドル高さ、BB高さ、シートチューブ角から、(820-280)/ sin (72.2°) → 567mm にクランク長170mmを加え、これにペダルの厚さの半分と靴底の厚さを引いた720mm *** 程度までが目安となります。
 以上より、WACHSEN BA-160 Franは身長160cmほどまでの人にはよいかもしれませんが、身長の高い人が乗る場合、窮屈な乗車姿勢を強いられることが想定されます。まあ、自転車の乗車姿勢を気にしない人には関係ない話ですが・・。
 なお、BA-100のハンドル高さが102cmであるのに対して、BA-160は87cmで、BA-100のBB高さの31cmに対して28cmと3cm低くなっただけですので、BBを基準に考えると乗車時のハンドル高さが12cm低いことになり、BA-160は前傾姿勢で乗ることになります。これはBA-100と同じ乗車姿勢では、BA-160のフォーク角、シートチューブ角からBA-100よりも後輪に荷重がかかり、走行中の前輪の安定感が低くなることから、前傾姿勢とすることで前輪の分担荷重を増やす設計がなされていることによります。


*: 下記の『小径自転車の選び方とカスタマイズ』の中でクランクスプロケットが52Tの場合、クランク1回転あたりに進む距離は、リアスプロケットが14Tと20×1.75のタイヤ組合せで5.8m、11Tと16×2.0のタイヤの組合せで5.9mとほぼ等しいことを紹介しました。少し走れる人はもの足りないギア比で、6.3m程度は欲しいと思います。
(追記:DOPPELGANGERのWebサイトでオプションとして56T、60Tの大径チェーンホイール+クランクセット(追加チェン付)があることを知りました。52Tとの比較で56Tだと1.077倍、60Tだと1.154倍高速化が図れます。WACHEN BA-160 Franの場合、ノーマルでは低速が遅すぎますので60Tの歯数は魅力です。ただ、チェンステイと干渉の可能性、あるいはフレーム下部のチェーンガードで保護できない寸法となる可能性があり、取り付けできるかどうかは不明です。
**: 望遠レンズでできる限り遠くから撮られているのが誤差を少なくできる望ましい写真。

*** 【追記】
 上記の計算、現在は少し「?」な「3点調整法」の延長のもので、適応股下長について以前のblogの「自転車のフレームサイズの計算方法」の中で『CYCLE SPORTS』(八重洲出版)のWebサイトの「サドルのセッティングを煮詰める」で紹介のE×0.88=Fという式(Eは股下長、FはBBからサドル上面までの寸法)に代入すると股下長は64.4cmとなります。

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「小径自転車はハンドルが軽い」といわれる理由:ロボット人間の散歩道:So-netブログ
http://robotic-person.blog.so-net.ne.jp/2011-01-18-1
小径自転車の選び方とカスタマイズ
http://www.minami-nagareyama.org/editor/mini-velo.html
DOPPELGANGER® 大径チェーンホイール+クランクセット DC1 - 2 - 3 - 4 - ページトップ
http://www.doppelganger-sports.jp/bike/option/d_blade/1_1.html
自転車のフレームサイズの計算方法:ロボット人間の散歩道:So-netブログ
http://robotic-person.blog.so-net.ne.jp/2009-12-20

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sin-pay

これは私の質問の件ですよね?
このように取り上げてくださってありがとうございます。
感動しました!
実はまだ購入に踏み切れていません。
BA-101、BA-160う〜ん。素人はこれだから困りますよね...
すみません。

さらにDOPPELGANGERにも最近blackbullet2という16インチの車種が出ましたが、同じくクランクスプロケが52T、しかしリアスプロケは14T、6段変速のようです。価格.comのBA-160のユーザーレビューにはblackbulletという前機種との比較がなされており、BA-160の方がリアも11Tで7段変速なのでDOPPELの不満を解消してくれるようなことが書いてありました。

デザイン的にはDOPPELの方がかっこ良いですが...
ちなみに私の身長は160しかありませんので適正身長ではあるのですね。

by sin-pay (2011-02-05 10:55) 

robotic-person

16インチのタイヤにリアスプロケットが14-28Tのもの(14-16-18-21-24-28T)は例え、フロントが52Tを使っていたとしても普通の大人の脚力であれば坂でも21Tで十分で、28Tはまず使うことはないと思います。
「変速機がついていれば売れるから」程度の組合せで、「改造にお金をかけたくない」ならばパスした方がよいです。
by robotic-person (2011-02-05 16:51) 

mano

「普通の大人の脚力であれば坂でも21Tで十分で、
28Tはまず使うことはない」

いやいや、私は普通の大人でこの自転車に乗ってますが、
28Tがなければ近所の急な坂は登れません。
それでも登りきるとゼイゼイ言ってます。

見かけの割りによく走る自転車で、乗るのが楽しいです。
ちなみに私は身長165cm、
この自転車にメインで乗る彼女は172cmです。
不都合は特にありません。
by mano (2011-05-31 19:25) 

robotic-person

近所の急な坂、国土交通省の道路構造令の基準以前の坂なんでしょうね~。
by robotic-person (2011-06-01 00:24) 

まきの

BA160フラン ついに60T化しました。
快適になりましたよ。
by まきの (2015-08-08 11:31) 

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