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メーカーの示す液晶テレビのサイズの選び方に疑問 [2. 道具(AV機器)]

 「ブラウン管テレビと液晶テレビでは最適視聴距離が違う」と電機メーカーは表示しています。最適視聴距離は個人差もあり、多くの方に確認して欲しいのですが、最適視聴距離が設定された理由、また、私自身が見やすいと思う距離の理由を考えると『ブラウン管テレビ時代の最適視聴距離のままでは、大型の液晶テレビを狭い住居に売り込めない』というのがメーカーが「最適視聴距離が違う」といいはじめた理由ではないかと想像されます。

■ 走査線が根拠?
 例えば東芝のWebサイトでは最適視聴距離について次のように示しています。

これだけは知っておこう 液晶テレビの選び方! > サイズ(東芝)
http://www.toshiba.co.jp/regza/detail/howto/size.html

「適切な視聴距離はブラウン管テレビと液晶テレビとでは違います。ブラウン管テレビは<テレビの画面の高さ×5~7>に対し、液晶テレビでは<テレビの画面の高さ×3>です。 たとえば42V型の場合、画面の高さは約52cmなので、ブラウン管テレビでは約314cm、液晶テレビでは約160cmが最適な視聴距離となります。」

【著者注】 このまま読むと42Vに対応するブラウン管テレビがあったかのように読めますが、市場に一般に流通した最大サイズは36型で「?」な解説です。

 東芝のWebサイトには距離に関する根拠は書かれていません。そこでビクターのWebサイトを見ると次のように走査線が関連することが読み取れます。

画面サイズで選ぶ テレビ |ビクター
http://www.victor.co.jp/tv/size_idx.html

「ハイビジョン放送は、従来の放送と比較して高画質放送(走査線数が2倍以上)のため、 ハイビジョン放送での最適視聴距離は、画面の高さの約3倍とされていますので、1.6m 前後の視聴距離でしたら42v型がおすすめです。」

* * *

 従来のNTSC方式の走査線は525本、これに対してハイビジョンは1125本。上記の東芝のWebサイトで、29型ブラウン管テレビ(画面高さ約40cm、最適視聴距離約290cm)と42Vの液晶テレビ(画面高さ約52cm、最適視聴距離約160cm)が記載されていますので1走査線に対する角度を計算すると前者は約0.0151°、後者は約0.0166°でほぼ近い値であることから、走査線が関連するのは確かそうです。
 しかし、29型ブラウン管テレビの最適視聴距離2.9mが設定された根拠はわかりません。
 そこで手元にある『ヒューマンファクターハンドブック』を調べると「VDT ワークステーションの設計」の中で走査線が見やすさに害となることが示されていました。思い出してみると29型がブラウン管テレビの最大寸法であった時代、大型ブラウン管テレビの画面に走査線はつきものでした。この走査線が目立たない距離が画面の高さの5~7倍というと説得力があります。なお、その後、画像メモリを使った画像補間技術の発達により走査線は見えなくなり、アナログ放送を大型テレビで見ると解像度が低いのが目立つという世界になりました。

■ 住処のテレビの使用状況

 私自身が最適と思える視聴距離を確認してみました。
 住処でHDTVが視聴できるのは36型ブラウン管のハイビジョンテレビ(画面の高さ約40cm、幅約74cm、36D3000、TOSHIBA)と、PCに内蔵させた地上/BS/110度CSデジタル放送フルハイビジョンテレビキャプチャーボードPIX-DT090-PE0(ピクセラ)とLCD-MF221XBR (画像の高さ約26.5cm、幅47.5cm、I・O DATA)を組み合わせたものです。
 36D3000はハイビジョンであることを考慮して液晶テレビの式にあてはめて画面の高さの3倍とすると120cmが最適な視聴距離となります。しかし、この距離では横長の画面全体が見にくく、また、画面のこまかい部分が見えてしまい、正直、目が疲れます。私がこのテレビを見る距離は現在、指定席となっている約2.7m、気になる映像が出て身をのりだした場合は約1.8mという感じです。
 LCD-MF221XBR をテレビでフル画面表示した場合、画面全体を見やすい距離は120cm前後です。

* * *

 私の見やすい距離は画面の高さの約5倍で、これはブラウン管テレビと変わらないものでした。
 画面全体を把握しやすい点と目の疲れの低減の面から、最適視聴距離は画面の高さの5倍程度とするのが無理のないところと考えられます。

 大型液晶テレビの登場で、一頃に比して下火になったようですが、映画を楽しむのにスクリーンとプロジェクターの組み合わせがあります。プロジェクターの光学系の制約から3m程度の距離が必要となりますが、映画に入り込んで楽しむにはスクリーンと人との距離(cm)を3で除した値をインチとしたもの;例えば3mであれば100インチ;がよいともいわれます。
 私もスクリーンとプロジェクタで映画を楽しむ場合がありますが、この距離は映画にどっぷり浸る感じのものであり、ニュースなどを見るには視線の動きが多すぎ、疲れます。(42Vの液晶テレビに当てはめた場合、125cm程度となり、メーカーのいう最適視聴距離より近くなりますので当然といえば当然です。)


ヒューマンファクター―新人間工学ハンドブック

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 同文書院
  • 発売日: 1989/06
  • メディア: 単行本



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