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マンチェスター科学産業博物館 [1. 取材・情報源]


Museum of Science & Industry in Manchester

 1996年にMuseum of Science & Industry in Manchester (マンチェスター科学産業博物館)へいきました。イギリスはスクラップ&ビルドのような再開発に対しては非常に慎重で、歴史的な街並みの大切にします。このためと思いますが、旧い建物群が博物館となっていました。日本の博物館・科学館のような立派な建物ではありませんが、展示物の量に圧倒されました。駅舎を利用したAir & Space Hallには私の好きな空を飛ぶものがびっしりとつまっていました。「かかみがはら航空宇宙科学博物館」も飛行機が窮屈そうに並べられていますが、この比ではなかったように記憶します。
 Webの検索で、1990年代からの日本の博物館の流れと単純に比較して、マンチェスター科学産業博物館を批判的に書いたページを目にしました。そこで「こういう考え方もある」ということを少し書いてみます。
 日本の近年の博物館は、「わかりやすい展示を」と展示方法について力が入れられ、展示物によっては「商業用ディスプレイか?」と思えるものさえあります。しかし、私は博物館や科学館で科学技術に関連する施設は、まず、圧倒的な展示物の量が不可欠と思います。そして「あれはどうだったかな」と博物館にいって、現物を確認し、勉強や仕事などに活かす、そのような図書館のような役割があると思います。産業技術記念館の織機関係の展示は正にこれを体現しているように思います。日本工業大学の工業技術博物館は展示物の収集方法の限界から近年のものがないことがありますが、収蔵量を誇っています。しかし、このような施設は一部で「建物は立派だけど展示物が少ない」と思えるものが日本では少なくありません。
 建物は「設計して建設していくら」と予算が立てやすく、発注すれば発注者側の手間はあまりかかりません。一方、展示物はひとつひとつ選定のために広く深い知識と、気の遠くなるようなこの選定の作業の繰り返しを要求されます。展示物の収集を支援する業者もあると聞いたことがありますが 、科学館・博物館の運営主体によっては専門的な人材がいないことが考えられます。これが建物は立派だけで展示物に乏しい博物館、技術館を生み出すひとつの理由かもしれません。
 まず、核となるコレクションをつくり、これらと将来の計画を含めて建物を建て、計画に基づいてコレクションを充実させていく、このように運営されている博物館、技術館はどれ位あるか、気になります。各博物館・科学館自体がどのように自らの歴史を作っているか、重要なところです。そして「物の展示を通して後世に科学技術を伝えていく」という博物館・科学館の役割を忘れて欲しくないものです。


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