SSブログ

「改訂新版アトラス キッズ宇宙地図」(主婦の友社) [本と映像・音楽の話]

DSCF1076-20140929.jpg

 近くの書店で「改訂新版アトラス キッズ宇宙地図」が透明袋に入れられ、「主婦の友社アウトレットセール70% Off 2700円 → 810円(税別)」のラベルを貼られて店頭にありました。ページを開いての内容確認はできず、「主婦の友社が宇宙関係の本?」と思いながら、『3Dしかけ図鑑』の文字が気になって「内容を確認したら近くの小学校へもっていこう」で購入しました。
 本書の内容は太陽系の天体と宇宙、そして宇宙探査などについて解説するもので、宇宙に感心のない大人でも各ページに施された紙を用いたしかけなどに触れながら楽しめると思います。ただ、本書を読みながら細かい点ですが、何点か、気になってしまいました。
 まず、表表紙ですが、監修者の渡部潤一氏の名前の後に小さい文字で椿正春訳と表示されていることから「翻訳本なんだ」とわかりますが、原著者の名前は表紙になく、奥付でRobin Scagell著 "The Ultimate Interactive Atlas of Space" (2008)の翻訳であることがわかる状態です。本書の表紙の監修者名等の位置、原書ではScholasticと表記され、著者名が表示されないのはデザイン上の配慮と理解できますが、本書のようにデザインするならば当然、著者名を入れるべきで、配慮に欠けています。そして「「世界天文年2009」の公認の本を出版すれば図書館などで一定数売れる」、「科学分野の出版のknow-howのない我が社でも翻訳なら・・」、「原著者の名前を入れるより、知名度の高い渡部潤一氏の名前を入れた方がよい」とその出版企画の背景が透けてみえるようです。
 本書の紹介に「対象年齢7歳以上」がありますが、内容は小学校の高学年であれば記載された内容にわからないものもあるけれどワクワクしながら読めると考えられるレベルです。「漢字にふりがなをつけ、ひらがなによる表記を多くすれば低学年向きとなる」というのはあまりに乱暴です。「本書のしかけを楽しめる年齢を表示した」というならば別ですが・・。対象年齢はamazon.comで記載の9 - 12 yearsと考えるのが妥当と思います。
 2009年に発行されたものと改訂新版といわれる本書の内容の差は直接、比較した訳ではありませんが、2011年に退役したスペースシャトルに関する記述ではないかと推測されます。なお、以下はそれに関連して本書で見つけた校正モレです。以前、本の編集に関わっていたことから(自分の書いたものはなかなか気づかないのですが)、つい気になってしまいます。

【p.46 10~11行目】
「(略)宇宙飛行士をおくりむかえするのはロシアのソユーズ宇宙船ですが、2011年まではスペースシャトルも使われていました。(略)」(→ 「」は不要。校正モレ)

 主婦の友社は料理、健康、育児、インテリアなどに関する女性向けの雑誌・書籍の発行をメインとする出版社です。しかし、「アトラス キッズ宇宙地図」を一発出しただけで終わらせず、「星ガール」などの存在もあることから、女性向けの科学雑誌・書籍という新しい分野を築いて欲しいものです。

DSCF1077-20140929.jpg

----------
主婦の友社
http://www.shufunotomo.co.jp/


改訂新版 アトラスキッズ宇宙地図

改訂新版 アトラスキッズ宇宙地図

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 2012/07/19
  • メディア: 大型本



The Ultimate Interactive Atlas of Space

The Ultimate Interactive Atlas of Space

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Scholastic Reference
  • 発売日: 2008/11
  • メディア: リング製本



nice!(14)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 14

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0