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MSN-202スーパーマクロレンズの専用アダプター製作 [2. 道具(カメラ)]

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自家製アダプタを使ってMSN-202を取り付けたFinePix F300EXR

 MSN-202スーパーマクロレンズ(raynox)には52~67mmのフィルターネジに対応するフリーサイズアダプターUAC3500が付属しています。このアダプター、各種のフィルターサイズに適用できるのは便利なのですが、下記に述べるように主レンズに対する取り付け精度が構造の制約からよいとはいえないなど、不満があります。そこでMSN-202と組み合わせるカメラはFinePix F200EXRとF300EXRに限定されることから、特製ステップダウンリングを製作しました。
特製ステップダウンリングの図を追加しました


■ フリーサイズアダプターUAC3500の弱点
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MSN-202と付属のアダプターを組み合わせた状態

 フリーサイズアダプターUAC3500はその構造から、次の弱点があります。

1) カメラへの取付け面から3mm、MSN-202の取付け位置が遠くなる位置にネジが切られていて、MSN-202と組み合わせた際にケラレが短い焦点距離から発生する。また、糸巻き形の歪曲収差を拡大する影響もあると考えられる。

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MSN-202を外したアダプター。MSN-202の取付け高さはカメラの取付け面より約3mm高い

2) MSN-202をカメラのレンズの中心に位置決めすることが難しい。スプリングは製造上の誤差があり、2本のスプリングで爪をフィルターネジに押し付けた状態でカメラのレンズの中心となるとは限らない。また、スプリングと直角方向のレンズ中心に対する位置は取付け者が「この程度だろう」で決めるものである。

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アダプターのカメラ側の面(スプリングで爪を広げる方向に力が働き、カメラのフィルターネジに固定)

3) フィルターのネジの凹部にUAC3500の固定用の爪の凸部をかける構造であり、ネジと爪の位置関係によってはカメラのレンズに対してアダプターが斜めに装着されることになる。

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カメラ側のフィルターネジにかかって固定するためのアダプターの爪

4) アダプターのサイズが大きく、爪でひっかけているだけのため、誤って何かにアダプターを引っ掛けてアダプターごと、レンズを落下させるおそれがある。


■ 特製ステップダウンリングの製作
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特製ステップダウンリングの構造

 ステップダウンリングは一般に([ステップダウンリングの厚さ]-[主レンズに取り付ける側のネジ長] → 鍔部分の高さ)分、コンバージョンレンズの取り付け位置が主レンズより離れることになります。
 これに対して以前、blogで紹介したDA 16-45mm F4 ED ALとワイドコンバージョンレンズWL-FXS6 を接続するステップダウンリングはこの離れが生じないことを目的に製作したもので、MSN-202用のアダプターをこれと同じ構造とすることで上記の3つの課題を改善できます。
 特製ステップダウンリングの基本構造は55→46mmのステップダウンリングの主レンズ側から46→37mmのステップダウンリングを取り付けることでクローズアップレンズの取り付け位置を主レンズに近づけるものです(上図参照)。一方、この製作するステップダウンリングは、私がF300EXRへコンバージョンレンズを取り付けるために製作したアダプターの部品として利用した43→55mmのステップアップリングに取り付けることになります。このため、46→37mmのステップダウンリングの鍔の部分(高さ2.5mm)が43→55mmのステップアップリングに干渉することになり、46→37mmのステップダウンリングの鍔の部分を削ることが必要です。(金工ヤスリで削りながら干渉状態を確認したところ、鍔の高さ0.25mm(ノギスの実測による)で干渉がないことが確認できました。)

使用材料:
 ステップダウンリング: 55→46mm、 46→37mm
 接着剤:クリアボンド
 塗装材料:黒マジックインキ(他の塗料でも可)

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各ステップダウンリングの鍔側の面

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各ステップダウンリングの主レンズ側の面

工具:
 金工ヤスリ、紙やすり

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金工ヤスリと研削中のステップダウンリング46→37mm

 MSN-202用のステップダウンリングの製作は、ステップダウンリング46→37mmの鍔部分(2.5mm厚)を0.25mmまで金工ヤスリで削り、削り終えたこのステップダウンリングの46mmネジ部にクリアボンドを少量塗布して、ステップダウンリング55→46mmの主レンズ側の面からネジ込み、研摩面を黒塗装して完成です。
 以下、製作手順を写真で紹介します。

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金工ヤスリで鍔部分を2.5mm厚から0.25mm厚に研削加工
・ ネジ部を痛めるおそれがあるため、他の工具は用いず、ひたすら忍耐で金工ヤスリで削りました。

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金工ヤスリで鍔部分を0.25mmに削り終えた状態

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金工ヤスリで削った面を#600の紙やすりで研摩仕上げ

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削り終わったステップダウンリング46→37mmの37mmネジ側を見る

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クリアボンドをステップダウンリング46→37mmの46mmネジ部に少量塗布してステップダウンリング55→46mmにねじ込み

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マジックインキで研磨した部分を黒塗り

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自家製アダプタ(コンバージョンレンズ取り付け側)


■ MSN-202用自家製アダプターの効果
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自家製アダプターとMSN-202スーパーマクロレンズ

 FinePix F300EXRにMSN-202を自家製アダプターを用いて曲尺、1mm方眼紙を対象に撮影試験してみました。広角端でUAC3500と自家製アダプターのケラレ状況を比較すると明らかに自家製アダプターの方がケラレが低減されているのがわかります。また、この効果でUAC3500を使用していた時は周辺減光の影響を受けなくなるズーム倍率は6.2倍(35mm判換算148mm)だったのが4.9倍(同118mm)と、この面からもケラレの影響を受けるズーム域が少なくなったことが理解できます。なお、望遠端における最大倍率は35mm判換算約8.1倍でほぼ同じです。

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フリーサイズアダプターUAC3500にMSN-202を取り付けて曲尺を撮影した場合の広角端のケラレ状況

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自家製アダプタにMSN-202を取り付けて曲尺を撮影した場合の広角端のケラレ状況

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MSN-202と組合せてズーム倍率4.9倍からほぼ周辺減光なく使える(1mm方眼紙の右下はレンズの影)

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MSN-202と組合せて望遠端で1mm方眼紙を撮影

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FinePix F300EXRとMSN-202スーパーマクロレンズ:ロボット人間の散歩道:So-netブログ
http://robotic-person.blog.so-net.ne.jp/2012-07-17
DA 16-45mm F4 ED ALとWL-FXS6 の組合せで超広角レンズ完成:ロボット人間の散歩道:So-netブログ
http://robotic-person.blog.so-net.ne.jp/2010-02-23

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