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エボラ出血熱、デング熱に関する報道 [3. 記事]

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 日本の感染症に関する報道はデング熱に関するものが増え、エボラ出血熱に関するものが少なくなりました。しかし、「国境なき医師団日本」のWebサイトを見ると「エボラ出血熱:圧倒的な支援不足、生物災害対応チームの動員を――MSF、国連で訴え」とウイルスとの戦いのただ中にあることが理解されます。

 独立行政法人 国立国際医療研究センター国際感染症センター 国際感染症対策室デング熱のWebサイトを見るとは「メディアからお問い合わせを受けている内容を中心にまとめています 」と前置きして【報道関係の皆様へのお願い】 が書かれています。その内容は次のもので、以前、科学技術ジャーナリズムを学んでいた時と状況は変わっていないことが実感させられます。

* * * * *

■ デング熱についての一般的な情報はすでに厚生労働省ホームページに掲載されています。 まずこちらをお読みください。 電話で医療機関・医師に問い合わせをする前に基本事項の学習、不明点の整理をお願いします。  → 日本のマスメディアの取材に携わる人材は科学技術関係のバックグラウンドを持つ人材が圧倒的に少なく、基本的な知識を持たずに「○時までに記事を書き上げねばならないから」で国際感染症対策室に電話取材している姿が垣間見えます。

■ 無症状の一般の方の質問や不安の相談は最寄りの保健所に電話をするようご案内ください。 医療機関への電話を誘導しないようおねがいします。 
■ 医療機関に行けば検査をしてもらえるという誤解につながる報道をやめてください。 一部報道にあるデングの"検査"は診療所や病院ではできません。  → 厚生労働省は例えば「デング熱の国内感染症例について(第六報) 」(9月4日)で「・・・早めに医療機関を受診してください」と書いていますが、これを暗に指摘しているのではと考えられます。現在のマスメディアは「事実報道」と称して政府発表を裏付けをとることなく、流している場合が多くあります。「国立国際医療研究センターの立場上、厚生労働省に直接、文句を言えないことからこのような書き方をしているのでは・・」と深読みしてしまいます。

■ 人権侵害につながるような報道や取材は控えてください。 過剰な表現や表現により誤解が生じています。

< 以下、略しますが、参考となるリンク先などが紹介されています。>

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『デング熱』の報道を考える
 代々木公園で蚊に刺されてデング熱に感染したと考えられる患者がでた時、報道は感染が限定的であるような表現をしていました。代々木公園に隣接する明治神宮について、NHKの当初のニュースではその名称はでず、明治神宮で感染したと考えられる患者が出た段階で名称があげられました。その後、新宿中央公園で感染したとみられる患者がでたことが報じられました。
 明治神宮は重要な観光資源です。そのことを慮ってデング熱が代々木公園で局所的に発生していると関係者側によって発表されたとしたら、「守らなければならないのは何か?」という基本的なプライオリティが関係者間で理解されていないことを示すことになります。
 「デング熱の拡大についてしばらく前に目にしたことがあるなあ・・」とWeb検索して中日新聞の「つなごう医療 中日メディカルサイト 熱帯の感染症 デング熱、北上」が見つかりました。内容は、世界保健機関(WHO)が世界の人口の40%以上にデング熱の感染のリスクがあり、感染拡大防止に向け警戒強化に乗り出したことを伝えるものです。そして"WHO World Health Day 2014 vector-borne diseases" (世界保健デー2014)のWebサイトで、"40% at risk"のタイトルの後に、"40% of the world's population is at risk from dengue."と記されています。
 フランスで2010年にデング熱の発生が報じられましたが、今回の国内のデング熱患者の発生はWHOの警告通りの状況が生まれつつあることを実感させるものです。
 厚生労働省をはじめ、関係諸機関は今回のデング熱の対応の問題を明らかにし、今後のデング熱あるいは他の感染症に対して、国民の理解度の向上を含めて、より良いリスクマネジメントの対策にまとめていって欲しいものです (「デング熱の発生が確認された時点からどのように報道が変化していったか、そしてその問題点は何かについて分析したら・・」などという論文のアイディアを思いついてしまいましたが・・。)

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『ウイルスの脅威 - 人類の長い戦い -』、NHK WORLD:ロボット人間の散歩道:So-netブログ
http://robotic-person.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05-1
エボラ出血熱について|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html
エボラ出血熱(国立感染症研究所)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/vhf/ebora.html
エボラ出血熱について 活動ニュース 国境なき医師団日本
http://www.msf.or.jp/news/ebola.html
topic デング熱 - 国際感染症対策室 ホームページ
http://www.dcc-ncgm.info/topic-%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%86%B1/
FORTH|新着情報|フランスで初めて現地でのデング熱が発生しました。(2010年9月17日、厚生労働省検疫所)
http://www.forth.go.jp/topics/2010/09171017.html
つなごう医療 中日メディカルサイト 熱帯の感染症 デング熱、北上(2014年4月19日、中日新聞(夕))
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20140421135650257
仏サノフィ、デング熱予防ワクチン 15年実用化目指す(2014/9/4 、日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H2N_U4A900C1EAF000/
代々木公園|公園へ行こう!
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index039.html
【デング熱】新宿中央公園でも患者確認 国内感染72人に - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140905/bdy14090516060006-n1.htm

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