電気工学を学んでいた時代もあり、電気学会(編)「コンパクト版 電気工学ポケットブック」(1990年、オーム社)が未だに作業部屋の書架に入っています。同書の「15編 照明と熱応用」の中で「1章 視覚系の機能」、「2章 測光量」、「3章 色覚と色の表示」、「4章 光源の物理」、「5章 光源システム」、「6章 照明計算」、「7章 照明設計」の照明関係の章があり、その7章で「照明設計に際しては、たんに必要な照度を得るということだけでなく、その空間を利用する人間の目的とする作業や活動が十分発揮できるように計画されなければならない。(略)」と記されています。基本を押さえた工学的な記述でそれ自体、全く問題ありません。そして東日本大震災直前の2011年3月10日のblogで「日本の照明設計が、事務所の照明設計のように設計対象とする作業空間に必要な照度を提供することを目的としていた時代、照明を建築デザインのひとつととらえたものを「テクニカルライティング」と名付けられたことを知りました。」と書きました("Technical Lighting"(リンク先はPanasonicのカタログ) と "Technical Writing"(リンク先は福山産業翻訳センター) 、英語圏ならば間違うことはないと思いますが、日本では「?」となってしまうことに・・ (^_^; )。
 現在、住んでいる集合住宅の2014年の外灯更新工事の仕様書を(前者の)「テクニカルライティング」の手法を用いてボランティアで作成できたのも昔、学んだことのおかげ。それまでの水銀灯から大幅の省エネを図り、照明器具の交換頻度を大幅に低減し、支柱の強度も高まり、工事完了直後は「明るくなった」と喜びの声もいただきました。なお、人間は慣れる存在で明るいのが普通になってしまいましたが・・ (^_^;
 昔は部屋全体を照らす照明が中心だったのが、部分照明が配慮されるようになり、照明の色温度の選定も重視されるようになり、照明デザインに対する一般的な理解も広がったと思います。私が照明について考えるようになったのは海外旅行の中でその地の照明と日本の照明のあり方が異なることに気付き、照明に関する洋書を入手したことに始まると思いますが、石井幹子氏の活躍の影響もあったと思います。
 石井幹子 (著)「光が照らす未来 - 照明デザインの仕事」(2010年、岩波書店)をBOOKOFF 埼玉三郷店で見つけ、入手しました(税込110円)。内容は石井幹子氏の半生記といえるもので、その中で照明デザインの仕事についても触れられています。そして11月28日に東京へいった際の往復の電車の中で読み終えてしまいました (^_^)