「運命のいたずら(?)」で機械設計に携わることになり、様々な面で先人の築いた基盤の上で仕事をしていることを実感しました。東京大学本郷キャンパスの工学6号館の前に日本の機械工学の発展に貢献したCharles Dickinson West の像があり、彼、そしてその前任者のHenry Dyerについて関心が生じてWeb検索してみました(本blog末尾のリンク)。
 私が機械設計の考え方を学ぶのに一番参考となったのが、プログラミングやシステム設計をしていたこともあるかもしれませんが、大西清著「電動ウインチの設計製図 - フローチャートによるシステム設計 -」(1986年、理工学社;現在は絶版となっているのが非常に残念!)でした。そして座右の書となったのが、大西清著「JISにもとづく機械設計製図便覧」(1955年が最初の版ですが時代の要求に対して改訂を重ねて2009年の11版が現在の版、理工学社)でした。この他、伊藤茂編「機械の素・改題縮刷版 メカニズムの事典」(1983年、理工学社)、渡辺秀則著「機械設計心得ノート」(1983年、日刊工業新聞)などの先人の培った知識を伝えてくれる多くの本が私を支えてくれました。そして理工学社は「私を育ててくれた」と言っても過言ではありません。また、私と同様、「理工学社の本に育てられた」という方も多いと思います。
 理工学社のWebサイトで同社が2013年7月20日に会社解散となったことを知りました。「(略)今まで出版して参りました大多数の書籍につきましては、株式会社オーム社様並びに他の出版社様のご協力により、今後も継続してお求めいただけることになりました。(略)」という記述から価値ある出版物が守られるという面では少し安心しましたが、先の見えない出版不況だけでなく、日本の第二次産業のおかれた厳しい経営環境が出版文化にも影響しているように思われ、ひどく寂しくなりました。
 (遅くなりましたが)理工学社の皆様、お世話になりました。ありがとうございます。