早稲田大学メディア文化研究所の「メディアの将来像を考える会」の6月例会が6月13日、元木剛氏(日本アイ・ビー・エム ワトソン事業担当理事)による「IBMワトソンが描くメディアの未来」の講演で開催され、参加してきました。
 講演の内容は今日の情報処理分野の製品の発達で膨大なデータの取扱が可能になり、画像処理が実用レベルで可能になるなどによるこの分野の技術の発達を概観するもので期待通りのものでした。
 注意深く説明されていたのが、人工知能「IBM Watson」が人間の洞察力や分析力といった知能のようなものを有しているのではなく、人の分析を助ける役割をしていることでした(以前、リーフレットか何かで読んだ通りの内容)。しかし、メディア関係の参加者の質問には過剰な期待を持たれていることが読み取れるものもありました。
 人工知能の脅威は、「人工知能の」といった修飾をすることで騙されやすい人間が多数いることで、これを利用して一種のブームを起こして製品販売に結びつけたり、政策に利用したり(これが問題! そういえば某行政機関の予算付けするテーマも・・)と関係ない目的で利用されてしまうことです。
 「メディア関係者という情報を発信していく立場にある人間が先入観を持って対応してはまずいのだけどなあ」と、1980年代のエキスパートシステムなどの一種の人工知能バブルを横目で冷やかに見ていた人間は考えるのでした(一応、人工知能学会編『人工知能ハンドブック』(1990年、オーム社)という人工知能バブルに関する証拠書類(?)も持っています)。