約20年ほど前になりますが、住宅建設需要の将来予想のシミュレーションをしていました。シミュレーションの考え方は人のライフサイクルによって住宅需要が高まる時期があり、年齢別人口の将来予測 * を行うことで住宅需要を求め、また、供給側となる住宅については既存の住宅の住宅建設時期から耐用年数(仮定)で住宅数を減じ、需要と供給の差を住宅需要とする定性的なアプローチでした(計算自体は単純でExcelで計算できるレベルのものです)。この方法は「過去の住宅建設数はどうであったか?」という分析を行なう上で、ひとつの視点を与えてくれ、「差異の原因は?」に対して歴史的な観点、景気、都市への人口移動、そして不動産業の影響など、モデルの精度を高める上で考えなければならないことが多いことを気付かせてくれ、その予測は容易でないことを教えてくれました。

 5月11日のNHKのクローズアップ現代「アパート建築が止まらない」として「サブリース」(オーナーの資金でアパートを建設させて、そのアパートを不動産屋が借り上げて入居者に転貸するもの)で「家賃保証」としながら契約に疎いオーナーをだましている実体(建設と「サブリース」の手数料の2つで儲ける)を伝え、また、地方都市の行政の開発に疎いところにつけこんでその街の環境を悪化する実態も紹介していました。
 日本の不動産業、言葉の上ではもっともらしいことをいいますが、「営利第一主義で、地道によい住環境(住宅をつくらないという選択を含めて)を提供するという高邁な思想とは無縁な連中」という見方を払拭できません **