近くの図書館で本のリサイクルコーナーがあることから、段ボールに入っている本を少しずつ整理し、昨日、文書保存箱1箱分の本を図書館に届けてきました。この本の選別のために本をパラパラと見ているのですが、「何んだ、この本は・・」というものが混じっているのに気づきました。
 それは渡辺茂 / 須賀雅夫 (著)『システム工学とは何か』(1977年、NHKブックス)で、その『まえがき』の最初の文が「システム工学とは、組織をコンピュータで解明しようとする学問である」と言い切ってしまっているのには驚かされました。
 神田古書街をぶらつくのが好きで見つけた1冊に、システム工学の古典といえる Robert E. Machol (編) "System Engineering Handbook" (1965, McGraw-hill Book Company)があります。この第1章で様々な定義が試みられていることについて触れた上、"Thus, when I speak of system engineering, I refer to the design of systems, the word "design" being significant."と書いています。『システム工学とは何か』の著者がいうのはsystem analysisの一部を言っているのに過ぎません。
 日本ではシステムエンジニアをコンピュータに限定して考える風潮が強いように思われますが、本書の影響も無かったとはいえないと思います。