人口学の講義を聴講していて、中国の人口統計の年次変化で数年間、普通では考えられない変化を示している部分とその原因について説明を受け、本書を紹介されました。

 「抗日戦争中に中国は2000万人もの人民の生命を失った。・・・その四年後に、中国は数百万人の犠牲を払って 共産党政権を誕生させた。・・・さらに10年を経て、中国はまたもや”人災”によって2000万人の人民の命を失った。・・・」として大飢饉で中国各地で起きていた惨状をまとめた本書。餓死者数は正確な把握はできず、最大4000万人とも見積もられているなど、衝撃的な内容です。
著者のDing Shuは現在、アメリカに住んでいますが、当時のことを記録していて中国の改革・開放路線の流れの中で、1988年9月から1989年8月に香港の月刊誌『九十年代』に連載を行い、これが改訂されて本書(原題:"A disaster caused by human neglect")が出版されました。
 この大飢饉が失政によるものであり、一人のカリスマ的人物を中心に置いての政治の危うさを改めて教えられた気がします。