「科学技術関係の執筆を行う上で、その分野の知識が必要か?」という議論がよくあります。「文系の人間に科学技術関連のものは書けるか?」という質問にも通じます。
 文系の人間でも、勉強によりその専門分野のパラダイムといわれるものを身につければ問題ありません。しかし、何も勉強しないでその分野について書くとしたら、ある研究者のいったことをそのまま、文章にまとめるなどしか、方法はありません。そしてその内容の正確性も判断できません。この危険さを理解しないで「科学者がいうことは専門的でわかりにくいから、文系の人間の翻訳が必要」というのは、余りに短絡的な思考です。
 その執筆者が専門知識をもっているかどうか、外からは判断しにくいのが実際です。ネットで得られる情報が玉石混合といわれるのも、この面が大きいといえます。
 正確な情報を発信すること、この報道者としての使命を考えれば自分の書けることと書けないことは、自ずから判断されるものです。そして専門知識をもっているとしても勉強を怠らず、鈍感になってはいけないと思います。