人工網膜"Second Sight" [脳、心、リハビリ]
本日のNHK BS1の海外ニュースのF2で、その手術結果に関する内容(明暗などが感じられるようになっている)が報じられました。人工網膜はSecond Sight Medical Products, Inc.のシステム。
下記に関連するWebサイトを紹介します。
盲目のスイス人患者に人工網膜を移植。 - swissinfo
http://www.swissinfo.ch/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=8770161&cKey=1203686069000&ty=st&sb=hat
Second Sight Medical Products, Inc.
http://www.2-sight.com/
NEDO海外レポート No.945、2004.12.1
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/945/945-09.pdf
「身体機能代替・修復システムの開発 /人工視覚システム」 事後評価報告書(平成19年)
http://www.nedo.go.jp/iinkai/hyouka/houkoku/18h/jigo/40.pdf
・ 人工視覚プロジェクトについて記載
人工眼プロジェクト (人工眼, 人工視覚, 人工網膜) (東京工業大学 清水・八木研究室)
http://www.io.mei.titech.ac.jp/research/retina/index-j.html
・ 人工眼のしくみについてわかりやすく解説されています。
最近の関心、「境界性パーソナリティ障害」と「高機能自閉症」の関連 [脳、心、リハビリ]
最近、ある人物について調べようと考え始め、「境界性パーソナリティ障害」と「高機能自閉症」の本を読んでいます。そしてその人物のことを考えているうちに「2つの障害を別個のものと捉えて、『どちらだ?』というように識別するのは妥当ではなく、心の働きの奥に潜むものが時としていずれかの傾向を強く示すに過ぎない」と理解した方が、その人物の行動をうまく表現できるのではないか、ということに気づかされました。
そのようなことから、「境界性パーソナリティ障害と高機能自閉症を一体的に述べている文献はないか?」と調べ始めました。
脳と手に関する2冊の本 [脳、心、リハビリ]
久保田競は下記の『手と脳』の第1章に「手は外部の脳である」という題名をつけました。良く知られたペンフィールドのホムンクルスでも脳の中で手の占める範囲は大きいものです。2足歩行が手(前足?)に自由を与え、手によってなされる様々な作業が脳の手に対応する部分を発達させ、手と脳の相互作用によって人間の驚異的な進化があったとする説、納得させられます。四半世紀前の本となりますが、サルを含んだ様々な実験が紹介され、今でも十分、参考になるのではないかと思います。
鈴木良治の「手の中の脳」は筋電義手に関する記述があることから入手したのですが、手の機械面、制御面、学習、仕事、ロボット、そして文化との関わりなどが全般的に書かれた手の入門書といえます。(題名に「脳」とありますが、それに関する記述は期待ほど多くありません。)
「私たちは病人ではない、障害者だ」 [脳、心、リハビリ]
3月16日夜、放送大学のテレビ放送を「ながら族」(死語?)で流していて、コーポラティブハウスを題材とした「生活科学II(’06)」の「世界のコープ住宅」(担当講師:小林 秀樹(千葉大学教授))が目にとまりました。現在、集合住宅に住んでいることから気になって見始めました。
その中でカナダの6人の障害者が自立のためにコーポラティブハウスに住んでいる事例が紹介されました。四肢の運動障害と呼吸器官の障害があり電動いすで移動している婦人に、コーポラティブハウスに住む理由について聞いた場面での彼女の返事に「ハッ」とさせられました。
「私たちは病人ではない、障害者だ」
このような内容の返事に続いて、病院でのさまざまな制約を離れて隣人との生活を楽しむ状況、30年間、病院の中で暮らしてきたという彼女のそれまでの人生について紹介され、その言葉の意味がわかってきました。
リハビリテーションは「疾患や心身に障害を持つ人の訓練治療を行なう専門的技術」として限定的にとらえる場合がありますが、家庭や地域社会での生活を実現するための広い概念(社会リハビリテーション)を意味することがあります。これに関する書き物を読んだ時、やはり、「ハッ」とさせられましたが、また、如何に自分が無知であるか、教えられました。
"Housing Interiors for the Disabled & Elderly" [脳、心、リハビリ]
バリアフリーデザインに関心があり、以前、勉強のつもりで福祉住環境コーディネーター検定試験(2級)を受けたことがあります。引っ掛け問題が多いように感じられ、「本質的な知識を試験していないなあ」と思いながら、引っ掛け問題に対応した思考に切り替え、何とか合格したものでした。
さて、下記の本はそのような関心から、1990年頃にアメリカに旅行した際に大学近くの書店で入手したものです。日本の住居の狭さ、生活スタイルが違うことからそのまま適用することはできませんが、「なぜか」という設計思想を了解することができます。実際的な知識の書かれた無駄のない文章のつながりは、「英語とはこういうものか」とも考えさせられたものでした。
Housing Interiors for the Disabled and Elderly
- 作者: Bettyann Boetticher Raschko
- 出版社/メーカー: Van Nostrand Reinhold
- 発売日: 1991/08
- メディア: ペーパーバック
「車いすのヒューマンデザイン」 [脳、心、リハビリ]
「故障した脳」 [脳、心、リハビリ]
統合失調症の権威者の一人と数えられるNancy C. Andreasenの1984年の著書、"broken Brain"は脳の疾患が心の病を生じさせているという観点から、脳科学や様々な事例を通じて精神医学が解説されています。この訳書が「故障した脳」。本書で紹介されるDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)は3訂で、現在は1994年改定のDSM-IV(下記のWebサイト参照)になっているなど、記述がふるくなっている部分も散見されますが、現在、読み直しても得るものが多い本と思います。特に、「アメリカを除くすべての国で、フロイトでなくクレペリンが現代精神医学の父と受けとめられている」の一文は「目から鱗」です。
Complete List of DSM-IV Codes
http://www.psychnet-uk.com/dsm_iv/_misc/complete_tables.htm
本書中で、ECT(電気けいれん療法)が映画「カッコーの巣の上で」で不適当な描かれ方をされていることが指摘されていますが、この映画ではロボトミー手術についても描かれています。手術によって人格を変えてしまう・・・、やりきれない気持ちにおそわれた映画でした。(日本でロボトミーが完全に行われなくなったのは、1975年に日本精神神経学会が「精神外科を否定する決議」の可決を行なってから・・)
また、本書では小説が映画化された作品として"Ordinary People"(邦題:普通の人々)を感情障害(うつ病)の患者の苦しさを正確に描き、家族への影響を描いた作品として紹介しています。ロバート・レッドフォードの初監督作品ということで興味があって初めて観た時、家族の崩壊というテーマの重さに負けそうになった自分がいたことを今でも思い出します。
Society for Neuroscience [脳、心、リハビリ]
アメリカ合衆国のSociety for NeuroscienceのWebサイトのInformation for (General Public, Press, Educators)のページ、例えば、"Brain Facts"といった64ページの脳・神経科学に関する入門書がダウンロードできたり、"Neuroscience Resources for the Classroom"の中には薬物中毒とか様々な資料が提供されています。学会でこのような様々な資料が提供されるのは素晴らしいものです。(日本神経科学学会 ( http://www.jnss.org/index.html )からはまだ、このような情報の提供はないようです。)
Society for Neuroscience
http://www.sfn.org/
ダウンロードできる資料の中に"Borderline Personality Disorder"があり、1990年発行の「ボーダーラインの心の病理」を読んだことを思い出しました。調べてみると改定新版が2005年に発行されています。家族関係などで悩んでいる人に、救いにはならないかもしれませんが、新しい目に開いてくれる本と思います。
I, CYBORG [脳、心、リハビリ]
"I, CYBORG"は、電極を左前腕に埋め込んで人間の神経と外部機器とのインターフェースを実現する実験を行ったKEVIN WARWICK教授の自伝です。電動車いすやロボットのハンドを直接、制御するなど、行った実験への興味、また、本のタイトルもセンセーショナルなため、詳しい内容を知りたくて購入したのですが、期待した具体的な記述はなく、肩透かしをくった気がしてしまいました。また、自身のスケジュール帳から文章を起したと思える部分がかなりあり、ロボット研究マニアにはよいかもしれませんが、読み飛ばしとなるページが多数ありました。
ただ、本書を読んでよかったのは、3歳の時に交通事故に遭って半身不随となった40代の男性からの研究の進展に期待する手紙を目にしたことです。神経と人工的な機械を接続することは、医学上、あるいは倫理上で越えなければならない様々な課題があると思いますが、きちっと向き合わなければならないと思います。
本書はモノクロですが、下記の教授のサイトでカラー写真を見ることができます。
Professor Kevin Warwick (The University of Reading)
http://www.kevinwarwick.com/
「回復する聾 ― 人工内耳で聴覚は蘇る」 [脳、心、リハビリ]
最近、人工内耳について少し勉強しています。そこで見つけたのか昭和60年に人工内耳の臨床応用を日本で初めて成功された船坂宗太郎先生の書かれた下記の本です。人工内耳に関する全般的な内容がわかりやすく書かれていて、一気に読んでしまいました。非常によい本と思います。
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船坂宗太郎先生の本の中で小木保雄さんの手記として紹介されている文に、『「不自由ながらも会話ができて、まったく聞こえない人から難聴者に戻れました」というところです。しかし、全然聞こえなかった時と比べれば、何万歩の前進だと思います。』というものがあります。
そこで人工内耳でどのような音が聞こえるか、シミュレーションしたものはないかと思い、調べたところ、下記のWebサイトのリンク先でそれを見つけました。健聴者の聞く声とは異なること、そして原理上、音階を聞くことはできないのですが、やはりカントリーソングがヘヴィメタルバンドの「メタリカ」の楽曲のように聞こえ、音楽を理解するのが難しいことがわかりました。
Cochlear Implant Information & Resources
http://www.listen-up.org/implant.htm
下記は人工内耳について確かな情報を提供しているサイトです。
人工内耳友の会
http://www.normanet.ne.jp/~acita/
人工内耳友の会(東海支部) ・・・ 「各種情報」が参考となります
http://www2u.biglobe.ne.jp/~momo1/
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表紙カバーの裏に"Michael Chorost became a cyborg on October 1, 2001, the day his new ear was booted up." という書き出しから始まる、著者の人工内耳の体験の手記が出版されています。下記の著者のサイトで第1章を読むことができます。
Rebuilt: How Becoming Part Computer Made Me More Human
- 作者: Michael Chorost
- 出版社/メーカー: Houghton Mifflin (T)
- 発売日: 2005/06/02
- メディア: ハードカバー
Michael Chorost : "Rebuilt",
http://www.michaelchorost.com/?page_id=12
邦訳も出版されています。