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「ハイレゾ」ブームに考えること [2. 道具(AV機器)]

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【JBL 4408A ・・ 本記事トップの写真のスピーカー】
4408A (JBL) 形式:2ウェイ バスレフ型、20cmコーン形ウーファー、2.5cmドーム形ツィーター
再生周波数:35~30k[Hz]、クロスオーバー周波数:2.5k[Hz]、平均出力音圧レベル:89[dB]
入力インピーダンス:8[Ω]、最大入力:100[W]、寸法:43.8×30.5×29.3[cm]、重量:12[kg]

 先月、本屋でオーディオ関係のコーナーを見たら「ハイレゾ」、「ハイレゾ」、「ハイレゾ」、・・・という感じでムックが置かれていました。「ハイレゾ」という言葉が先行する事態に対して、JEITA (一般社団法人 電子情報技術産業協会)「ハイレゾオーディの呼称について(周知) 」として「“CD スペックを超えるディジタルオーディオ“ であることが望ましい」という定義とはいえないものを出したのが昨年3月のことでしたが、状況はあまり変わっていないように思えます*

■ オーディオ機器に関する私の懺悔
 毎年、デジタルカメラが増殖している状態で「ムダ遣い」と良心様からの指摘に言葉を返せない私ですが、オーディオ関連製品も今考えると「・・・」という状態にありました(現在は「故障したらから更新を (^_^;」の範囲に留まっていますが)。
 中学生の時、DIATONEの16cmのフルレンジスピーカーを指定のキャビネットサイズは無視して、置き場所と私の工作能力を優先させてスピーカーボックスを工作したのがオーディオとの関わりを深めた発端だと思います(中学生の時、放送部に所属し、音楽室でレコードコンサートをやったような記憶も・・)。次のスピーカーボックスはNationalの20cmのコアキシャルスピーカー用でした。剛性から厚い合板の使用を計画しましたが、私の木工加工能力から、木材加工をしている叔父にカットとスピーカー穴の穴明けをお願いしました。そしてオーディオUNIONでキット販売されていた長岡鉄男氏のマトリックス・スピーカーMX-1を製作したこともありました。MX-1は突き板仕上げとし、スピーカーに誤って触れて傷つけないようにサランネットを取り付けましたが、肝心の「録音された音場を正確に再現」を感じることはできませんでした。このあたりから「オーディオマニアとは・・」になりました (^_^;
 TA-F333ESJ (SONY)という総重量21.3kgのプリメインアンプが住処で眠っていますが、オーディオ機器が重量でCPを評されていた時代の影響を受けて入手したものです。映画を住処で100インチのスクリーンで観るためにXV-Z4000 (Sharp) のOEM製品であるLX-C100S (Victor)を入手するなど、AV機器にはまったこともあります。以前のblogで「住処のスピーカー達」を紹介しましたが、モニタースピーカー的に使っていたFOSTEX RX200(20cm同軸型2ウェイスピーカー)とその後継スピーカーのJBL 4408Aを除いて他のスピーカーは店頭処分などで安く売られているのが目に入り、試聴して私の感性にあう音であることを確認して入手し、そのスピーカーによって押し出される形でそれまで使っていたスピーカーが休眠となり、その後、レシーバーが安く売られているのを見つけて「休眠となっているスピーカーと組合わせてこの部屋でFMの音楽を楽しめるようにしよう」といった調子でオーディオシステムが増殖してきました。そしてオーディオやAV機器、「これで最後・・」という言葉を何度、重ねてきたことでしょうか (^_^;

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FOSTEX RX200改とTA-AV670 (SONY)

■ 私の聴力などについて
 「住処のスピーカー達」で「十代の終わりの頃、実験で私の耳の可聴周波数を測り、16,000Hz以上から感度が低下し、20,000Hzはほとんど聴こえないことを知りました(今ではもっと可聴域が狭くなっていることは容易に想像されます (^_^; )」と書きました。そしてそのような可聴域でも、『PJ-20 Maniac』の中で(ICレコーダーの)ICR-S278RM を用いてそのMP3 フォーマットの各音質モードで録音される音を、好きなPAT METHENY のCD の"Works"の中の“ Sueño Con Mexico ”(ギターのハーモニックス音も多用され、チェック用としてきびしい曲)でチェックし、ファイルサイズ優先の設定だと聞こえない音が生じ、METHENY のギターの音色も変わってしまうのに対して、最高音質(ビットレート128kbps)でMP3 化した音であれば、ヘッドフォンで聴いても基となるCDと変わらず音楽を楽しめることがわかりました。
 以前のblogでベースラインがよく聞き取れるヘッドフォンを選んだことを紹介しました。音楽を聞いてアレンジ譜を作成する必要がなくなってもう長くなりますが、「一音一音を聴きとる」という目的には外部の音から遮断できるヘッドフォンを用います。ただ、ヘッドフォンは嫌でも音が耳に入ってきて、疲れてしまうため、常時はスピーカーを使用しています。
 「耳は機械でなく、一人一人『聴こえ』が異なる」
というのが私の基本的な聴力に対する考え方です。そして使用目的によって「楽器の音がちゃんと聞き取れる再生系があれば・・」です。なお、昔、カセットテープを渡されて「楽譜の準備を」と頼まれて譜面にしたまではよかったのですが、♯がたくさん付く譜面となってしまい、演奏面から半音下げることになりました。その後、JISで規定されるカセットテープの再生速度の許容範囲が広いことからその影響で原曲の音程より高い音に聴こえてしまったことに気づきました。その面で「原曲と同じピッチで再生できること!!」も重要です。

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左:DR-M5 (SONY) 再生周波数帯域:15-22,000Hz、出力音圧レベル:106dB/mW
右:ATH-M30 (Audio Technica) 再生周波数帯域20~20,000Hz、出力音圧レベル:100dB/mW

■ 私の音楽の聴き方
 「ライブで聴く音楽の音とオーディオ機器で再生された音とは根本的に異なる」、「録音した媒体を聴くことは疑似体験すること」と割り切って音楽を楽しんでいます。
 「何かをしながら」という「ながら聴き」がほとんどで、例えばLDのAVシステムはニュースの聞き取りやすいスピーカーSC-A7L2 (DENON; 下の写真。デザインが気に入り、安価になったことから我慢できず入手し、その後、ニュースが聞き取りやすいに気付いたのですが)を壁面に取り付け、キッチンで何かをしながらニュースを流し、気になるニュースがあるとそちらに目を向けて・・となっています。なお、LDのシステムはサブウーファーを組合せているため、「おっ、こんな低音が入っているのか」と驚かされることもあります。作業部屋のシステムはモニタースピーカーのJBL 4408Aですが、音楽を真剣に聴くことはほとんどなく、ながら聴き、特にテレビの音を流しっぱなしというのが圧倒的に多い状態です。ベッドサイドのシステムは刺激とならず、聴きやすい音からSC-E717(DENON)を使っています。「聴く環境、目的にかなった音で鳴ってくれることが重要で、それを実現する上で別に「ハイレゾ」は必要条件とはなりません。
 上記のように採譜の目的では音がしっかりと聴き取れるヘッドフォン使用で、レコーディング・エンジニア(マルチトラックレコーダーを入手して自分で楽器を演奏して多重録音をしたことがありますが、演奏技術のレベルの低さをまざまざと感じてしまいました (T_T))、ミキシング・エンジニア(アルバイトで簡素なPAシステムのミキサーをしたこともあります)のように一音一音を音作りの面から神経質に聴きたいとは思いません。そして音楽そのものを楽しみたく、一部の音をとらえて「いい悪い」といった評論家的な聴き方をしたいと思いません(LS-VH7(Kenwood)から出る滝の音が気になり片付けはしましたが・・)。

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左:SC-A7L2 (DENON)
形式:2ウェイ 密閉型(防磁設計)、8cmコーン型ウーハー(D.D.L.)、2.5cmダイレクトドライブ方式スーパーツイー ター
再生周波数帯域:80~90k[Hz]、クロスオーバー周波数:5k[Hz]、平均出力音圧レベル:84[dB]
入力インピーダンス:6[Ω]、最大許容入力:60[W]、寸法:8.5×18×17.9[cm]、質量:1.3[kg]
右:SW-37HT (KENWOOD)
形式:バスレフ型、20cmコーン(デュアルボイスコイル)、再生周波数:40~200[Hz]
公称インピーダンス:4+4[Ω]、定格出力:60+60[W]、寸法:30×35×48[cm]、重量:14[kg]

SC-E717.jpg
SC-E717(DENON)
形式:2ウェイ バスレフ型(防磁型)、12cmコーン形ウーファー(ツインドライブ)、 2.5cmドーム形ツィーター
再生周波数:45~35k[Hz]、クロスオーバー周波数:4k[Hz]、平均出力音圧レベル:89[dB]
入力インピーダンス:6[Ω]、最大許容入力:100[W]、寸法:15.4×25.0×25.6[cm]、重量:5.4[kg]

■ 「ハイレゾ」ブームに考えること
 音楽のネット配信で音楽流通のビジネスモデルが大きく変わりました。音楽をビジネスとしている業界(一般社団法人 日本レコード協会の会員企業、そして出版業界など)はそのビジネスモデルへの対応とともに、新しいビジネスチャンス(新しい機能のある機器として更新需要を高める、あるいは新しい本のネタとなり、販売と広告収入につながる)と捉えられていると想像されます。
 ハイレゾとは無関係の時代の昔のレコーディングでも音楽として充分、楽しめます。「ハイレゾ」をブームとするためか、それ以前のものを全否定するような書き方に思える本もあり、「ちょっと・・」となります。

 音楽を楽しむのが重要でブームに踊らされませんように
 オーディオ病(教)に罹患していないか、冷静な判断を


* : 昔々、藤田広一著『基礎情報理論』で標本化定理を学びました。それは「連続的な時間の関数でも、周波数帯域がW[Hz]、持続時間がT[sec]に制限されているときには、2WT個の値を与えれば関数は全部決定してしまう」というものです。CDのサンプリングレートの44.1kHzを初めて聞いた時、人間の可聴域はおよそ20~20,000Hzだから若干高い周波数に設定してその2倍としたサンプリングレートに「標本化定理がこんなところに活用されているんだ!!」とその周波数の意味を理解できてうれしくなりました。一方、サンプリングビットの16bitについては私の手持ちの人間工学の資料を漁ってもその根拠となるものが見つからず、「まあ、充分、音楽を楽しめるからいいか・・」でした。
 テレビの画像は目で見えるため、解像度などの画質の良し悪しがわかりやすいですが、音は目で見えないため、これが難しいものがあります。
 ハイレゾの目的としているのはCDより多いサンプリングレート、サンプリングビットにすることによって波形をより精密にサンプリングし、それを復元処理した時にオリジナルの波形に近づけようというものです。ただ、話をややこしくしているのが、可聴帯域より高い周波数について言及した解説文をしばしば目にすることです。1990年代、大橋力先生の放送大学での講義(だったと思いますが)で、バリ島の伝統音楽であるガムランに含まれる可聴域を越えた音が脳に刺激を与えていること(西洋楽器にはそのような高い周波数は含まれていない)について聴講した記憶があります。解説文の多くが可聴帯域より高い周波数があたかも聴こえているような表現がされていますが、音をデジタル化して信号処理するのに際して原音の波形に近づけるには高い周波数まで対応できるシステムが必要と理解すべきと思います。
 本blogを書くのにWeb検索してNHKの「おはよう日本」で「ハイレゾが音楽を変える」という特集があったことを知りました。

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レコードのMP3エンコードについて:ロボット人間の散歩道:So-netブログ
http://robotic-person.blog.so-net.ne.jp/2012-03-16
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ホームシアターと3Dテレビ:ロボット人間の散歩道:So-netブログ
http://robotic-person.blog.so-net.ne.jp/2012-01-18
一般社団法人 電子情報技術産業協会: ハイレゾオーディの呼称について(周知)
http://home.jeita.or.jp/page_file/20140328095728_rhsiN0Pz8x.pdf
JEITA が『ハイレゾ音源』の定義を決定。CD音質を超えるデータはすべてハイレゾ - Engadget Japanese
http://japanese.engadget.com/2014/03/31/jeita-cd/
第43回/「ハイレゾ音源」の定義で火がついた諸問題に答える MUSIC BIRD
http://musicbird.jp/audio_column/p43/
第46回/オーディオ史に残る五大バトルを振り返り、「ハイレゾ音源」の未来を占う MUSIC BIRD
http://musicbird.jp/audio_column/p46/
「ハイレゾは高音質」の嘘~広がる高額な“ニセレゾ”、本物の見分け方と正しい鑑賞法は? ビジネスジャーナル
http://biz-journal.jp/2014/04/post_4630.html
ハイレゾとは 「VICTOR STUDIO HD-Music.」
http://hd-music.info/html.cgi/support_03.html
ハイレゾ音源は人間の耳で聴き分けられるか? 禁断のブラインドテストで検証! (1-6) - Phile-web
http://www.phileweb.com/review/article/201311/06/982.html
192kHz-24bitのハイレゾ無圧縮音源は本当に聴き分けられるものなのか? - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20141203-hi-rez-audio/
ハイレゾが音楽を変える|特集まるごと|NHKニュース おはよう日本
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2014/11/1128.html
【デジタルレコーディングの基礎知識】その1 サンプリングって何だ? [DTM・デジタルレコーディング] All About
http://allabout.co.jp/gm/gc/204546/
ハイレゾとは? ハイレゾ・オーディオサイト ソニー
http://www.sony.jp/high-resolution/about/
はじめてのハイレゾ ポータブルオーディオプレーヤー WALKMAN ウォークマン ソニー
https://www.sony.jp/walkman/high-resolution/
ガムラン スカル・ジュプン Gamelan Sekar Djepun – Balinese Gamelan Gong Kebyar
http://www.sekardjepun.com/
Bali Gamelan Club (バリガムランクラブ)
http://www.kt.rim.or.jp/~maktori/gamelan/
やる夫で学ぶディジタル信号処理
http://www.ic.is.tohoku.ac.jp/~swk/lecture/yaruodsp/main.html
JBL テクノロジー解説 ブランドについて JBL by HARMAN
http://jbl.harman-japan.co.jp/about/tech.php?id=4
一般社団法人 日本オーディオ協会
http://www.jas-audio.or.jp/
「ハイレゾリューション・オ ーディオ(サウンド) の取り組み」
http://www.jas-audio.or.jp/jas-cms/wp-content/uploads/2014/06/doc14061201.pdf


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