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過去の失敗を学んでいない? GALAPAGOS [本と映像・音楽の話]

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HYBRID W-ZERO3 (3.5型),GALAPAGOS EB-W51GJ-S (5.5型),EB-WX1GJ-B (10.8型)

 SHARPのメディアタブレットGALAPAGOS、やっと店頭で実機に触ってきました。

 10.8型のEB-WX1GJ-BはA4判の幅を少し狭くしたようなサイズ。765gの重さに、ノートPCとの持ち歩きを想像し、「2kgのPCをバッグにいつも入れて持ち歩こうとして、すぐ挫折したなあ・・」を思い出しました。SHARPは「室内で使用を」というコンセプトでセールスを展開のようですが、『電子ブックストアサービスの利用には無線LAN (IEEE802.11b/g)によるインターネット接続環境が必要』とあることから、当然、そこに無線LANでつながれたノートPCがあり、それで電子書籍が読めますので、マーケティング上は競合製品です。「自動配信サービスで差別化」ということでしょうか・・。

 5.5型のEB-W51GJの92mm×167mm×12.9mmは手に馴染む絶妙の寸法で、1,024×600の解像度は新書や文庫を読むのには十分すぎる位で、220gの重さもコンパクトデジタルカメラ並みで持ち歩きに負担となりません。トラックボールも使い勝手が考えられています。そしてバッテリー駆動時間の約7時間というのも許容範囲。
 ハードウェア的にはよさそうなのですが、肝心のソフトウェア環境(EB-WX1GJ-Bも含め)が・・・。

 対応する電子書籍のフォーマットはXMDFとPDF形式とTXT形式。SDHCカードに電子書籍のファイルを入れれば読み込めるというものでなく、GALAPAGOS Station経由でないと取り扱いできない模様・・。このアプリでMS WordやPowerPointのデータをXMDF形式に変換して対応するということなのですが・・。GALAPAGOS Station経由なのは目を閉じておくとしても、epubを直接、取り扱いできないのは理解に苦しみます。英語圏ではepubが大きな潮流となっています。日本では小学校から英語教育に力を入れられる時代で、無料に入手できるepubの多くの作品を読める環境を提供すれば、学習の目的を含め、英語への対応に関心の高い多くの人に訴求でき、製品の販売拡大にも寄与するのは間違いないのですが・・。

 国内で何年も前、電子書籍の期待が高まりながら、コンテンツ不足と既存の出版業界を守るための市場を無視した流通形態が、市場の立ち上がりをだめにしたこと・・。TSUTAYAとのコラボレーション、自動配信サービスなど、閉ざされた世界で製品を出してしまったようです。過去の失敗から何を学んでGALAPAGOSを登場させたのでしょうか? 何か、前回と同様、旧時代の人たちのしがらみで成長の芽を摘まれた製品に思えてなりません。文字通り、世界から取り残されたGALAPAGOSとなって早期の絶滅が危惧されます。

 epubなどに対応したオープンな電子書籍リーダーとなる"GALAPAGOS II"の早期の登場が期待されます。

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専用端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」向け電子ブックストアサービスを12月10日よりスタート ニュースリリース:シャープ
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/101209-a.html
GALAPAGOS(ガラパゴス) : シャープ
http://www.sharp.co.jp/galapagos/

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うえいぱうわ

雨後のタケノコのごとく、何だかニョキニョキ
生えてきましたけど、どれがスタンダードに
なるのやら。
とはいえガラパゴスっていうネーミングからも
この製品って国内専用で、外に出す事は考えて
いないのかもしれませんね。
by うえいぱうわ (2011-01-31 17:53) 

robotic-person

シャープのXMDFという規格を押し付けた鎖国時代を彷彿とさせる仕様なんですよね、うえいぱうわさん!
GALAPAGOSからは「電子書籍の未来を作るのは我々だ。こういうモノが欲しいから作ったんだ!!」という思いが伝わってきません。そのような思いと最も遠いところにいる人たちが理屈だけ、こねくり回して世の中に出してしまったような感じを受けます。
by robotic-person (2011-01-31 18:59) 

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